【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
「よかった、目が覚めたんだね」

「こ、この食事は……?」

「随分とお腹が空いているようだったからね。僕の顔を……食べ物と間違えるくらいだ」


リオネルはベッドに座るローズマリーに手を伸ばしている。
エスコートしてくれるのだと気がついて、ローズマリーは意識が食べ物からリオネルに移る。


「ありがとう、ございます」


それからベッドに外に足を出すと、自分の格好が今までと違っていることに気づく。

(いつの間にか体が綺麗になっています。髪もサラサラですし、服もバルガルド王国で支給された聖女服ではありません)

ライムグリーンの髪は信じられないほどに指通りがよく滑らかだ。
艶やかなシルクのワンピースは真っ白で肌触りがいい。
ローズマリーは自分の格好を見つめたまま動けないでいた。


「あの……わたしは牢屋にいたのではなかったのでしょうか」

「……牢屋? ああ、たしかにあの失言は仕方ないさ。君はかなり錯乱していたから」

「あっ……はい」

「あの箱にはおぞましい魔法がかかっていた。あの状況を見ればどんな思いでここにきたのか想像できるよ……つらかったね」

「…………」


意外にもリオネルはローズマリーを一方的に責めることはない。
それよりもローズマリーが置かれていた状況を把握しているのか優しく労わる言葉をかけてくれる。
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