【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
『まさかっ、お、お前は魔法が使えるのか!? 貴族しか使えないはずの魔法をどうして……!』
神父の言っていた魔法の意味をローズマリーは理解することができなかった。
ローズマリーの頭の中は次にどうやって食べ物を確保するかを考えていた。
(今度は食べられる野草を大きくして神父に隠して育てましょう!)
野草を大きくすれば食べ応えもあるだろう。
しかしその日から神父のローズマリーに対する態度がよそよそしくなった。
ローズマリーの植物に影響を与える力はすぐに教会に伝わることになった。
そんなことは知らないまま食べられる野草を建物の裏に移していたある日のこと。
孤児院には見たことがないほど綺麗な格好をした神父や絵本でしか見たことがない騎士の姿があった。
「この子です……! 植物を大きくする魔法を使います」
「本当なのか?」
「えぇ、本当です!」
神父はローズマリーに綺麗な野菜を与える。
期待に満ちた目を気にすることなく、ローズマリーは野菜を大きくする。
今日も腹ペコだったからだ。
(これをみんなで分けて食べましょう……!)
この力を見て確信したらしい。
彼らはこの国では貴族しか使えないはずの魔法を使うローズマリーを迎えにきたのだ。
どこかの貴族の隠し子ではと聞かれたローズマリーだったが、記憶がないことにくわえて、ライムグリーンの髪を持つ貴族などどこにもいないため偶然ということになったらしい。