【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで

ローズマリーにとって生まれなどどうでもよかった。
一番大切なのはお腹が満たされることなのだから。

彼らについて行くことを渋っていると『お腹いっぱいに食べられる仕事がある』と言われローズマリーは目を輝かせた。
よくわからないが〝聖女〟として働けば、お腹いっぱいにご飯が食べられるいい暮らしができるらしい。
ここから離れて、王都で大聖堂で暮らすと言われたが、ローズマリーは孤児院の子どもたちが心配だったからだ。
そのため条件を二つ出した。

『お腹いっぱい食べさせてください』
『わたしが聖女として働くのでこの神父をやめさせてください』

ここでローズマリーは神父の行いを暴露して、この孤児院にいい神父を派遣してもらうことにしたのだ。
ローズマリーを育てたことで出世しようとしていた神父にとっては予想外のものだったのだろう。
ローズマリーにとって欲深く、肉汁たっぷりの美味しそうな肉を食べていた神父が心底許せなかったのだ。

教会側はローズマリーの願いを快諾してくれた。
孤児院の子どもたちに感謝されつつ、ローズマリーは安心して王都にある大聖堂へ向かったのだった。

初めて見る景色はローズマリーを不安にさせた。
見たことがない建物が立ち並び、人がたくさんいる。

(草も実をつける木もありません。どうやって生活しているのでしょうか……)

だけど大聖堂に着けばそんな不安はすぐに吹き飛んでしまう。
彫刻や壁画、内装の美しさに目を奪われたローズマリーだったが、その真ん中には光に包まれた大きな木があった。
風もないのに葉を揺らした木はローズマリーを歓迎してくれているような気がした。
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