【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
口端から垂れるよだれをリオネルはさりげなく拭ってくれる。
ローズマリーが申し訳なくなり視線を向けるが、ニコニコと笑顔を絶やさない。
そんな紳士的な対応に感動していた。
小説のワンシーンが体現してきたような王子様。
同じ王太子であるクリストフとはまったく違うことだけは確かだ。

目の前にあるのはローズマリーの夢にも出てきたことはない意味のわからないほど豪華な料理たち。
震える手でフォークとナイフを手に取り、目の前にある肉の塊に手を伸ばす。
フォークとナイフで押さえるとジュワッと溢れる肉汁。
ナイフを動かして大きめにカットする。
断面はほんのりと赤みがあって、更に食欲を誘う。

(孤児院の神父が食べていたあのお肉が……わたしの目の前にあります!)

ローズマリーはゴクリと唾を飲み込む。
緊張からプルプルと震える腕で肉塊を口に含んだ。


「────ふぐッ!?」


ローズマリーの手からナイフとフォークが落ちてしまう。
はしたないとわかっていたが、手を止めることができなかったのだ。
ナイフとフォークが皿とぶつかりカチャリと音を立てた。


「ま、まさか毒が!?」

「…………っ」

「医師を呼んでくれっ!」
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