【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
ローズマリーがそう考えていた時だった。
両手を包み込むように握られたローズマリーは胸元に視線を向ける。
どうやらリオネルがローズマリーの手を掴んでいるようだ。
手から彼に視線を送ると、オレンジ色の瞳がこちらをじっと見つめている。


「ローズマリー、お願いがあるんだ」

「な、なんでしょうか!」

「もし行く場所がないのなら、カールナルド王国にいてくれないだろうか? 是非とも我が国の聖女になってほしい」

「…………え?」

「今、カールナルド王国には君の力が必要なんだ」


リオネルの表情は真剣だった。
また大聖堂に閉じ込められてしまう不自由な生活に戻ってしまうのではないかと思ったローズマリーは迷っていた。

しかし先ほどのおいしいご飯や肉をくれたリオネルの願いだ。
それにカールナルド王国はこれだけ魔法樹を大切にしてくれている。
アイビーにとってもこれほど幸せになれる場所はないのではないだろうか。

(また自由ではなくなってしまいます。ですが魔法樹を……アイビーくんを守りたいです。それに美味しそうなご飯のお礼はしなければなりません……! お肉のためなら我慢できます!)

満腹になったお腹を撫でながら、ローズマリーがお世話になりますと言おうとした時だった。
 

「もちろん美味しい食事を毎日食べられるし、ローズマリーが望むならなんだって……」

「──やりますっ!」

「ローズマリー……?」

「今みたいなご飯をお腹いっぱい食べられるのなら、是非ともやらせてくださいっ」

「えっ……あぁ……」

「よろしくお願いしますッ!!!!!」
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