【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
ローズマリーはクロムのいつか『また会える』という言葉を信じていた。
彼とまた会うためにも、必ずアイビーを守らなければならない。
そうでなければ、彼に合わせる顔がないではないか。
クロムはローズマリーの命の恩人だ。
彼がローズマリーに果実をわけてくれなければ、今頃空腹でどうなっていたかわからない。

(そういえば果実を食べてからではないでしょうか。クロムさんが夢に出るようになったのは……)

それまではローズマリーも魔法樹と意思疎通を図ることなどできるとは思っていなかった。
なのでローズマリー自身も驚いてはいたものの、クロムのおかげで生き延びることができたのだ。

そういう面ではリオネルも空腹から救ってくれた恩人ということになるのだろう。


「君には驚かされてばかりだ……! まさか魔法樹とここまで意思疎通が計れる聖女は文献にも残っていない」

「そこまで魔法樹が心を許すとは……」

「……?」


ローズマリーが首を傾げていると、リオネルは「魔法樹の研究員たちを呼んでくれ」と、侍女たちに向かって指示を出している。

(そういえば、どうしてクロムさんは木で夢の中では老人でしたのに、アイビーくんは赤ん坊の姿だったのでしょうか)

ローズマリーはふと疑問に思い、問いかけてみることにした。
彼らなら魔法樹に詳しいと思ったからだ。


「クロムさんは大きな木で、夢の中では老人でした。アイビーくんやオパールちゃんは人間の赤ん坊や子どもの姿でした。彼らは同じ魔法樹なのに、どうしてでしょうか?」

「そうか。バルガルド王国では知られていないのか……千年ほど生きる強い魔法樹は人間の子どもの姿で生まれて、自分で根づく場所を選ぶといわれているんだ」
< 79 / 193 >

この作品をシェア

pagetop