【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
アイビーは顔を上げると、ローズマリーに気がついたのかこちらに駆け寄ってくる。
それからローズマリーの手を引いてオパールの方に早く来てと訴えかけているようだ。


「アイビーくん、夢の中のように喋ってはくれないのですか?」


アイビーは口を押さえると首を横に振った。
それから両手を合わせて片頬に寄せると目を瞑る。


「なるほど。夢の中でないと話せないのですね」

当たり前のようにアイビーと意思疎通を図るローズマリー。
周囲に驚かれているとも知らずに、クロムもそうだったと納得していた。
どうやら夢の中にいなければアイビーとは話ができないようだ。

夢の中で見たオパールは腰まで伸びた髪を三つ編みしていた可愛らしい少女の姿だった。
なのに実際、目の前にいるのは赤ん坊だ。
髪はアイビーより色が薄くて明らかに肌は青白い。
今にも消えてしまいそうで元気がないことだけはよくわかる。

(夢で見たオパールちゃんとは違います。アイビーは今は三歳児くらいのようですが……)

今にも消えてしまいそうなオパール。
リオネルの話によるとこの姿のまま十年経っているという。
原因はよくわからないが、オパールが元気をなくし枯れかけていることだけは確かだ。
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