諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
プライベートの話をするのに外では……ということで、現在スペインのバルセロナに滞在している彼女のペントハウスを訪ねることに決まった。
「まぁ、母に話が通れば、父にもそのまま伝わるだろうしな。むしろ、宥め役の父がいた方が助かったんだが。母にしてみれば独りの方が気兼ねなく戦えるんだろうし」
恭平は肩を竦める。なんとなく最初に紹介された日のことを思い出して咲良も納得した。和葉は嗣利を尊敬して立てるように行動をしている。いうなれば、嗣利の存在は緩衝役でもあったわけだ。箍が外れた彼女の総攻撃に耐えられるだろうか、と咲良は身震いをする。
「君の方こそ大丈夫?」
恭平が心配そうに、青くなっている咲良を見る。
「だ、大丈夫です。私はもう何があっても折れません。その、恭平さんが側にいてくれて味方でいてくれるなら……」
それに、結婚は本人たちの自由とはいえ、一度こじれた仲だからこそきちんと身内には筋を通しておきたいという気持ちがある。恭平も賛同してくれた。もう、逃げるわけにはいかない。覚悟は決めている。
「よく言うよ」
恭平はあえて深刻さを和らげるように茶化す。
それから少しの間、二人の間に沈黙が横たわった。
恭平の手が上から重なる。大きなその手に包まれるとほっとするけれどドキドキもする。触れている指先からも脈が伝わってくる。それから程なく彼の顔が近づいてきて、互いの唇がそっと触れ合った。
表面が触れただけなのに、ただそれだけで痺れる心地がした。物足りないと感触を確かめるように深く啄まれると、くらくら眩暈がしてくる。
その間にも心臓の音がどんどん速くなる。
どこまで触れていいのか、恭平の方が遠慮している気がした。咲良のことを彼は待っていてくれる。それが実はもどかしいと思ってしまう。
そんな咲良の心境を悟ったらしい恭平がもう一度、今度はさっきよりも唇を長く重ねてきた。それからまたやさしく啄むように、幾度となく角度を変えながら……どんどん濃密な口づけに移っていく。
互いの呼吸が乱れはじめて、一度きりでは終わらずに繰り返し求めあっているうちに飽き足らない気持ちになってくる。
離れてから何年もの間、愛する人と触れ合えなかった飢餓感のようなものが溢れてくる。
きっとそれは、二人の距離を早く埋めたいという衝動だったのかもしれない。
「……咲良」
「まぁ、母に話が通れば、父にもそのまま伝わるだろうしな。むしろ、宥め役の父がいた方が助かったんだが。母にしてみれば独りの方が気兼ねなく戦えるんだろうし」
恭平は肩を竦める。なんとなく最初に紹介された日のことを思い出して咲良も納得した。和葉は嗣利を尊敬して立てるように行動をしている。いうなれば、嗣利の存在は緩衝役でもあったわけだ。箍が外れた彼女の総攻撃に耐えられるだろうか、と咲良は身震いをする。
「君の方こそ大丈夫?」
恭平が心配そうに、青くなっている咲良を見る。
「だ、大丈夫です。私はもう何があっても折れません。その、恭平さんが側にいてくれて味方でいてくれるなら……」
それに、結婚は本人たちの自由とはいえ、一度こじれた仲だからこそきちんと身内には筋を通しておきたいという気持ちがある。恭平も賛同してくれた。もう、逃げるわけにはいかない。覚悟は決めている。
「よく言うよ」
恭平はあえて深刻さを和らげるように茶化す。
それから少しの間、二人の間に沈黙が横たわった。
恭平の手が上から重なる。大きなその手に包まれるとほっとするけれどドキドキもする。触れている指先からも脈が伝わってくる。それから程なく彼の顔が近づいてきて、互いの唇がそっと触れ合った。
表面が触れただけなのに、ただそれだけで痺れる心地がした。物足りないと感触を確かめるように深く啄まれると、くらくら眩暈がしてくる。
その間にも心臓の音がどんどん速くなる。
どこまで触れていいのか、恭平の方が遠慮している気がした。咲良のことを彼は待っていてくれる。それが実はもどかしいと思ってしまう。
そんな咲良の心境を悟ったらしい恭平がもう一度、今度はさっきよりも唇を長く重ねてきた。それからまたやさしく啄むように、幾度となく角度を変えながら……どんどん濃密な口づけに移っていく。
互いの呼吸が乱れはじめて、一度きりでは終わらずに繰り返し求めあっているうちに飽き足らない気持ちになってくる。
離れてから何年もの間、愛する人と触れ合えなかった飢餓感のようなものが溢れてくる。
きっとそれは、二人の距離を早く埋めたいという衝動だったのかもしれない。
「……咲良」