諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
恭平が髪を乾かしながら出ていくと、咲良がまだ意識しているのがわかりやすく伝わってきてまた笑ってしまった。
入れ替わるように咲良がシャワーを浴びている間、恭平は適当にシャツとスラックスといったルームウエアに着替える。スーツに着替えるのは朝食などを済ませたあとにする。
キッチンでお湯を沸かしている間は新聞を広げ、片方でスマホを開く。フランス国内の情勢を確認しつつ日本の状況なども把握する。いつものルーティンだ。
静かな朝に身を委ねていると、急にドタバタした物音が聞こえてきた。どうやら恵茉が目を覚ましたらしい。
「どうした? 大丈夫か?」
「はぁ……間に合いました」
まだ濡れた髪を振り乱しながら、恵茉の半端になった着替えを手伝っている咲良を見て、恭平は噴き出した。
「笑い事じゃないんです。これが親子の日常です」
「いや、すまない。これを言うと叱られるかもしれないが、幸せな日常をこうも感じさせてもらえるな、と」
「もうっ」
咲良が息を切らしている一方、ごきげんな様子の恵茉が恭平の元にかけてくる。
「パパ」
「恵茉、おはよ」
「おはよ!」
タックル……のような手加減を知らない突撃を受けとめつつ、恵茉の髪をやさしく撫でておでこにキスをした。
「ごきげんじゃないか」
恭平が微笑みかけると恵茉もにっこりと笑う。
「すっきりしたからですよ」
やれやれと言いたげな咲良の突っ込みがすぐに入ってきた。この流れもなかなかに面白い。
「次は何をすればいい?」
「お水を飲ませたら朝ごはんの時間です」
「じゃあ、君は恵茉に水をあげてくれるか。その間、俺が君の髪を乾かしてあげるよ」
「いいんですか?」
「ああ。その方が時間が短縮できるだろ。あと、俺が君を甘やかしてあげられる時間ができる」
「恭平さんってば。溺愛がすぎるのでは」
「忘れたか? 言っただろ。足りないくらいだって」
「わ、わかりましたから。もうそれ以上は言わなくていいです」
咲良がちょっとだけ照れたようにこちらを窺っていた。
座って、と恭平は咲良をソファへと促す。咲良が座るとその前に恵茉がちょこんと座ってマグカップの水を飲み始めた。
恭平は咲良の隣に腰かけつつドライヤーで咲良の髪を丁寧に乾かしていく。
入れ替わるように咲良がシャワーを浴びている間、恭平は適当にシャツとスラックスといったルームウエアに着替える。スーツに着替えるのは朝食などを済ませたあとにする。
キッチンでお湯を沸かしている間は新聞を広げ、片方でスマホを開く。フランス国内の情勢を確認しつつ日本の状況なども把握する。いつものルーティンだ。
静かな朝に身を委ねていると、急にドタバタした物音が聞こえてきた。どうやら恵茉が目を覚ましたらしい。
「どうした? 大丈夫か?」
「はぁ……間に合いました」
まだ濡れた髪を振り乱しながら、恵茉の半端になった着替えを手伝っている咲良を見て、恭平は噴き出した。
「笑い事じゃないんです。これが親子の日常です」
「いや、すまない。これを言うと叱られるかもしれないが、幸せな日常をこうも感じさせてもらえるな、と」
「もうっ」
咲良が息を切らしている一方、ごきげんな様子の恵茉が恭平の元にかけてくる。
「パパ」
「恵茉、おはよ」
「おはよ!」
タックル……のような手加減を知らない突撃を受けとめつつ、恵茉の髪をやさしく撫でておでこにキスをした。
「ごきげんじゃないか」
恭平が微笑みかけると恵茉もにっこりと笑う。
「すっきりしたからですよ」
やれやれと言いたげな咲良の突っ込みがすぐに入ってきた。この流れもなかなかに面白い。
「次は何をすればいい?」
「お水を飲ませたら朝ごはんの時間です」
「じゃあ、君は恵茉に水をあげてくれるか。その間、俺が君の髪を乾かしてあげるよ」
「いいんですか?」
「ああ。その方が時間が短縮できるだろ。あと、俺が君を甘やかしてあげられる時間ができる」
「恭平さんってば。溺愛がすぎるのでは」
「忘れたか? 言っただろ。足りないくらいだって」
「わ、わかりましたから。もうそれ以上は言わなくていいです」
咲良がちょっとだけ照れたようにこちらを窺っていた。
座って、と恭平は咲良をソファへと促す。咲良が座るとその前に恵茉がちょこんと座ってマグカップの水を飲み始めた。
恭平は咲良の隣に腰かけつつドライヤーで咲良の髪を丁寧に乾かしていく。