諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
「そろそろ髪を短くしたいなと思ったんです。何度か髪をばっさり切ろうかと思いながら、ママはこの髪がいいというので……」
「これからは俺が乾かす係になれるからいいんじゃないか」
「すみません」
「どんな髪も似合うけれど、たしかに君の髪は綺麗だからこのままでいてほしい気持ちもわかるよ」
やがて乾き終わったあと、咲良が恥らうようにありがとうございます、と言った。そんな彼女が無性にかわいくて恭平は咲良の頬にくちづけた。
ちゅっと小さな音を立てて離れたあと、咲良の顔はさっきのりんご以上に染まっていた。
「……!」
「じゃ、コーヒーは熱いの危ないから、向こうで一緒に飲もうか」
「はい」
「パパ、エマも!」
「ん?」
恭平が首を傾げると、恵茉が背伸びをする仕草をする。
「ママみたいに髪を乾かしてほしい? じゃあそれは夜になってお風呂に入ったあとだな」
「んん!」
ぶんぶんと恵茉が顔を横に振る。
「恵茉、ママからじゃダメですか?」
「んん!」
恵茉はまた同じように動いた。
「ああ、わかった」
恵茉の頬に恭平がキスをすると、恵茉は嬉しそうに頬を緩ませて声を弾ませた。どうやらパパからのキスがほしかったようだ。ちゃっかりさっきの咲良とのやりとりを見ていたらしい。
「ヤキモチは妬くなよ」
恭平は咲良の方を気にした。
「妬きませんよ。微笑ましくて……むしろ嬉しいですよ」
「そっか」
「……はい」
「じゃ、恵茉も、パパとママにひとつずつくれるか?」
「はぁい!」
朝の挨拶のキスごっこが澄むと、恵茉はすっかりご機嫌な様子だ。
「愛している人と一緒に、我が子に振り回される朝も悪くはないものだな」
「恭平さんは呑気なことばかり言いますね」
そろそろ咲良に叱られそうな気配を察して、恭平は次の話題へと移ることにする。
「朝ごはんはどうする? 君が作ると言っていたけど、手伝うよ」
「いいですよ。恭平さんはもうそろそろスーツに着替えてきてください」
「わかった。じゃあ、着替えたら恵茉と一緒に読書でもしようか」
本を広げて恵茉と一緒に詩集の挿絵を眺める。その間、咲良の時々外れた鼻歌がキッチンの方から聞こえてきて、コーヒーのほろ苦い香りと香ばしい匂いが混ざる。生活感が漂ってくる。
すぐ側には愛しい彼女と自分の間に生まれた可愛い子が、膝の上に乗っている。
「これからは俺が乾かす係になれるからいいんじゃないか」
「すみません」
「どんな髪も似合うけれど、たしかに君の髪は綺麗だからこのままでいてほしい気持ちもわかるよ」
やがて乾き終わったあと、咲良が恥らうようにありがとうございます、と言った。そんな彼女が無性にかわいくて恭平は咲良の頬にくちづけた。
ちゅっと小さな音を立てて離れたあと、咲良の顔はさっきのりんご以上に染まっていた。
「……!」
「じゃ、コーヒーは熱いの危ないから、向こうで一緒に飲もうか」
「はい」
「パパ、エマも!」
「ん?」
恭平が首を傾げると、恵茉が背伸びをする仕草をする。
「ママみたいに髪を乾かしてほしい? じゃあそれは夜になってお風呂に入ったあとだな」
「んん!」
ぶんぶんと恵茉が顔を横に振る。
「恵茉、ママからじゃダメですか?」
「んん!」
恵茉はまた同じように動いた。
「ああ、わかった」
恵茉の頬に恭平がキスをすると、恵茉は嬉しそうに頬を緩ませて声を弾ませた。どうやらパパからのキスがほしかったようだ。ちゃっかりさっきの咲良とのやりとりを見ていたらしい。
「ヤキモチは妬くなよ」
恭平は咲良の方を気にした。
「妬きませんよ。微笑ましくて……むしろ嬉しいですよ」
「そっか」
「……はい」
「じゃ、恵茉も、パパとママにひとつずつくれるか?」
「はぁい!」
朝の挨拶のキスごっこが澄むと、恵茉はすっかりご機嫌な様子だ。
「愛している人と一緒に、我が子に振り回される朝も悪くはないものだな」
「恭平さんは呑気なことばかり言いますね」
そろそろ咲良に叱られそうな気配を察して、恭平は次の話題へと移ることにする。
「朝ごはんはどうする? 君が作ると言っていたけど、手伝うよ」
「いいですよ。恭平さんはもうそろそろスーツに着替えてきてください」
「わかった。じゃあ、着替えたら恵茉と一緒に読書でもしようか」
本を広げて恵茉と一緒に詩集の挿絵を眺める。その間、咲良の時々外れた鼻歌がキッチンの方から聞こえてきて、コーヒーのほろ苦い香りと香ばしい匂いが混ざる。生活感が漂ってくる。
すぐ側には愛しい彼女と自分の間に生まれた可愛い子が、膝の上に乗っている。