諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
恭平にべったりくっついている恵茉を見て、たしかにそうかもしれないと頷く。咲良は今後のことを思案しつつそっと恵茉に声をかけた。
「恵茉、大丈夫よ。きっと今度は仲良くできるわ」
咲良が声をかけると、恵茉はそろりと半分だけこちらに顔を向け、ぷいっとまた背けて恭平の肩のところに顔を隠してしまっている。
どうやら嫌われたのは和葉の方ではなく咲良の方らしい。なぜ……咲良はがっくりと項垂れてしまった。
「おっと……子どもながら結構力が強いんだな」
はは、と恭平は呑気に笑っているけれど。
「今夜このままずっと恭平さんから離れないかもしれませんよ。なんとかしないと」
「それなら、君が笑顔になればいいんじゃないかな?」
恭平の言うことはきっと正しい。咲良が怖い顔をしているのが恵茉はいやなのだ。
「……恵茉、ママは怒っていないし怖くないでしょう?」
恵茉はまたちらりとこちらを見てぷいっと顔をそむける。むむっと咲良は顔が引きつるのを感じた。これは和葉よりも手ごわい相手が現れたといってもいいかもしれない。
バチバチし出した親子を尻目に、恭平は何か考えあぐねている様子だ。
「これから食事っていう感じじゃないな。なら、少し気分転換しようか。俺にいい考えがある」
「何をするつもりですか?」
「フラメンコを見て行こう。近くの小劇場なんだが、今ならすぐにチケットも取れるよ」
いつの間にチェックしていたのか、元々その予定だったのか、恭平がスマホを確認しながら言う。
「……フラメンコ」
フラメンコは、スペイン南部のアンダルシア地方を中心に伝わる伝統芸術、その舞踊の名は今では広く伝わっている。咲良同様にすぐに赤と黒の衣装を思い浮かべる人は多いだろう。
元々の起源はアンダルシア地方に移ることになった一つの土地に定住しないロマニーと呼ばれる人たちが貧しさや苦しさを訴えるためにはじまったものと言われているが、今では家庭でテーブルを囲い歌いながら踊ったり、その楽しさを共有するために劇場でショーを行うエンターテイメントとして、また、コンテストなどの競技が開かれるなど、どんどんその様式は変貌していっている。
「先日、賓客を歌舞伎と日本舞踊の舞台に連れて行ったんだが、そのときフラメンコの話になってね。今度フラメンコについて知識を得ておこうと思っていたところなんだ。君は見て見たくない?」
「恵茉、大丈夫よ。きっと今度は仲良くできるわ」
咲良が声をかけると、恵茉はそろりと半分だけこちらに顔を向け、ぷいっとまた背けて恭平の肩のところに顔を隠してしまっている。
どうやら嫌われたのは和葉の方ではなく咲良の方らしい。なぜ……咲良はがっくりと項垂れてしまった。
「おっと……子どもながら結構力が強いんだな」
はは、と恭平は呑気に笑っているけれど。
「今夜このままずっと恭平さんから離れないかもしれませんよ。なんとかしないと」
「それなら、君が笑顔になればいいんじゃないかな?」
恭平の言うことはきっと正しい。咲良が怖い顔をしているのが恵茉はいやなのだ。
「……恵茉、ママは怒っていないし怖くないでしょう?」
恵茉はまたちらりとこちらを見てぷいっと顔をそむける。むむっと咲良は顔が引きつるのを感じた。これは和葉よりも手ごわい相手が現れたといってもいいかもしれない。
バチバチし出した親子を尻目に、恭平は何か考えあぐねている様子だ。
「これから食事っていう感じじゃないな。なら、少し気分転換しようか。俺にいい考えがある」
「何をするつもりですか?」
「フラメンコを見て行こう。近くの小劇場なんだが、今ならすぐにチケットも取れるよ」
いつの間にチェックしていたのか、元々その予定だったのか、恭平がスマホを確認しながら言う。
「……フラメンコ」
フラメンコは、スペイン南部のアンダルシア地方を中心に伝わる伝統芸術、その舞踊の名は今では広く伝わっている。咲良同様にすぐに赤と黒の衣装を思い浮かべる人は多いだろう。
元々の起源はアンダルシア地方に移ることになった一つの土地に定住しないロマニーと呼ばれる人たちが貧しさや苦しさを訴えるためにはじまったものと言われているが、今では家庭でテーブルを囲い歌いながら踊ったり、その楽しさを共有するために劇場でショーを行うエンターテイメントとして、また、コンテストなどの競技が開かれるなど、どんどんその様式は変貌していっている。
「先日、賓客を歌舞伎と日本舞踊の舞台に連れて行ったんだが、そのときフラメンコの話になってね。今度フラメンコについて知識を得ておこうと思っていたところなんだ。君は見て見たくない?」