諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
恭平と和葉もやはり似ているところがあるのだろう。咲良も頑固といわれる性質ではあるが、彼らにも譲れない部分という点ではなかなかだ。
嗣利と目が合った。彼は咲良に申し訳なさそうな顔をする。
「やれやれ。今後もこんな調子だが、どうか大目に見ていただけると助かります」
「こちらこそ」
咲良は思わずかしこまって頭を下げた。それから嗣利の顔を改めて見る。
もしも自分の父親が生きていたら、母と同じくらいの年齢の人だと聞いているから、こんな感じだったのだろうか。無論、どんな職業をしていたとか、どんな風貌だったか、何も知らないのだけれど。
「どうされましたか?」
「あ、じっと見てしまって失礼でしたよね。ごめんなさい。実は、私には父がいないので……こんな感じだったのかな、と考えてしまいました」
「ああ、そうでしたか」
しんみりしてしまいそうなところへ、和葉が発破をかける。
「なら、ますますよい御手本にならないといけないわね。恭平」
「……善処するよ。まずはいい夫にならなければ」
恭平がそう言い、咲良を席にエスコートする。そして、恵茉を自分の方へと抱き上げた。
「パパしゅき!」
恵茉が甘えるような顔をする。それには恭平も不意打ちだったらしくほんのり照れている。そんな様子が愛おしくて、咲良は思わず微笑んだ。
「なんだ。ずいぶん気に入られているんだな。すっかり父親じゃないか」
嗣利が破顔する。
一方、和葉は悔しそうにツンとした表情を浮かべていた。
「そのくらい難しいことではないでしょう」
「そんなことはないさ。好かれることほど難しいことはないと思うがね」
今度言い合いしはじめたのは和葉と嗣利だった。
「夫婦喧嘩も今はやめてくれよ」
恭平が意趣返しをすると、違いないな、と嗣利は朗らかに笑い、和葉も戦意喪失したらしく大人しく黙り込む。恵茉は何かがツボにはまったらしくきゃっと声を上げた。
「それじゃあ、何に乾杯すべきか……」
改まって恭平がグラスを持って皆を見回して思案する。和葉と嗣利は恭平に幹事を任せようと静かに待っている。恵茉は興味深々といったふうに恭平の顔を見上げていた。
咲良は親子が揃って歓迎してくれた奇跡のような場面にこみ上げるものを感じながら、恭平に微笑みかける。
「決まっているじゃないですか」
咲良の弾んだ声が合図となって彼にも伝わったらしい。
嗣利と目が合った。彼は咲良に申し訳なさそうな顔をする。
「やれやれ。今後もこんな調子だが、どうか大目に見ていただけると助かります」
「こちらこそ」
咲良は思わずかしこまって頭を下げた。それから嗣利の顔を改めて見る。
もしも自分の父親が生きていたら、母と同じくらいの年齢の人だと聞いているから、こんな感じだったのだろうか。無論、どんな職業をしていたとか、どんな風貌だったか、何も知らないのだけれど。
「どうされましたか?」
「あ、じっと見てしまって失礼でしたよね。ごめんなさい。実は、私には父がいないので……こんな感じだったのかな、と考えてしまいました」
「ああ、そうでしたか」
しんみりしてしまいそうなところへ、和葉が発破をかける。
「なら、ますますよい御手本にならないといけないわね。恭平」
「……善処するよ。まずはいい夫にならなければ」
恭平がそう言い、咲良を席にエスコートする。そして、恵茉を自分の方へと抱き上げた。
「パパしゅき!」
恵茉が甘えるような顔をする。それには恭平も不意打ちだったらしくほんのり照れている。そんな様子が愛おしくて、咲良は思わず微笑んだ。
「なんだ。ずいぶん気に入られているんだな。すっかり父親じゃないか」
嗣利が破顔する。
一方、和葉は悔しそうにツンとした表情を浮かべていた。
「そのくらい難しいことではないでしょう」
「そんなことはないさ。好かれることほど難しいことはないと思うがね」
今度言い合いしはじめたのは和葉と嗣利だった。
「夫婦喧嘩も今はやめてくれよ」
恭平が意趣返しをすると、違いないな、と嗣利は朗らかに笑い、和葉も戦意喪失したらしく大人しく黙り込む。恵茉は何かがツボにはまったらしくきゃっと声を上げた。
「それじゃあ、何に乾杯すべきか……」
改まって恭平がグラスを持って皆を見回して思案する。和葉と嗣利は恭平に幹事を任せようと静かに待っている。恵茉は興味深々といったふうに恭平の顔を見上げていた。
咲良は親子が揃って歓迎してくれた奇跡のような場面にこみ上げるものを感じながら、恭平に微笑みかける。
「決まっているじゃないですか」
咲良の弾んだ声が合図となって彼にも伝わったらしい。