諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
今、ここに一番ふさわしい題名をひとつ挙げるとしたらそれは。
「――親子の絆に乾杯」
恭平が音頭をとると、それぞれが笑顔でグラスを揺らした。遅れて小さな手が伸びる。
「salud! (乾杯!)」
その音色は、フラメンコの掛け声のように高らかに響き、スペインの夜にあたたかな彩を奏でたのだった。
■8章 幸せのウエディング
結婚式は、日本のフランス大使館近くにある迎賓館を選び、外のガーデンと一続きになっているチャペルで挙式をすることになった。
というのも、咲良の祖父母が年老いていることを考え、日本で行うのがいいだろうと、嗣利や和葉も賛成してくれたのだった。
無論、恭平の海外赴任が終わるタイミングを待つことになったので予定を合わせるのが大変だったが、外務省勤務が決まってすぐに式場に予約を入れた。
恭平がフランスの日本大使館に公使として勤めてから四年目に咲良と恵茉を連れて渡仏し、そこから親子三人でフランスで暮らして二年後の春――東京の桜はすっかり満開に咲き誇って美しい彩を見せてくれている。
発った時と同じように今から少し前の秋口に帰国し、東京で暮らしていたが、恭平の仕事や咲良や恵茉の生活を馴染ませるために準備には半年ほど備えた。
恭平も咲良も出会った頃に比べるとだいぶ年を重ねた。恵茉はますます達者になり、転入学した一貫学校の幼稚舎では他の帰国子女たちと共に闊達に過ごしている。
そうして変わっていくことはあるけれど、それでもここで桜が満開になっている風景を見ると、恭平と出会った日がついこの間のことのように思い出されるようだった。
彼に惹かれて、憧れが初恋になった。やがてその恋は愛になり、家族になった今も彼への愛は増すばかりだ。
彼にはずっとすべての感情を抱いているといってもいいかもしれない。彼に恋をし続けて、そして愛している。これまで以上に。
かつては永遠に離れ離れになるかもしれなかった二人にとって、永遠の愛を誓える日を迎えられたことを、咲良は心の底から嬉しく思っている。
今日は新しい門出だ。
窓辺から入ってくる柔らかな風にヴェールが揺れる。咲良は純白のドレスに身を包みながら、そうして恭平と出会った日から今日までのことを思い出していた。
「――親子の絆に乾杯」
恭平が音頭をとると、それぞれが笑顔でグラスを揺らした。遅れて小さな手が伸びる。
「salud! (乾杯!)」
その音色は、フラメンコの掛け声のように高らかに響き、スペインの夜にあたたかな彩を奏でたのだった。
■8章 幸せのウエディング
結婚式は、日本のフランス大使館近くにある迎賓館を選び、外のガーデンと一続きになっているチャペルで挙式をすることになった。
というのも、咲良の祖父母が年老いていることを考え、日本で行うのがいいだろうと、嗣利や和葉も賛成してくれたのだった。
無論、恭平の海外赴任が終わるタイミングを待つことになったので予定を合わせるのが大変だったが、外務省勤務が決まってすぐに式場に予約を入れた。
恭平がフランスの日本大使館に公使として勤めてから四年目に咲良と恵茉を連れて渡仏し、そこから親子三人でフランスで暮らして二年後の春――東京の桜はすっかり満開に咲き誇って美しい彩を見せてくれている。
発った時と同じように今から少し前の秋口に帰国し、東京で暮らしていたが、恭平の仕事や咲良や恵茉の生活を馴染ませるために準備には半年ほど備えた。
恭平も咲良も出会った頃に比べるとだいぶ年を重ねた。恵茉はますます達者になり、転入学した一貫学校の幼稚舎では他の帰国子女たちと共に闊達に過ごしている。
そうして変わっていくことはあるけれど、それでもここで桜が満開になっている風景を見ると、恭平と出会った日がついこの間のことのように思い出されるようだった。
彼に惹かれて、憧れが初恋になった。やがてその恋は愛になり、家族になった今も彼への愛は増すばかりだ。
彼にはずっとすべての感情を抱いているといってもいいかもしれない。彼に恋をし続けて、そして愛している。これまで以上に。
かつては永遠に離れ離れになるかもしれなかった二人にとって、永遠の愛を誓える日を迎えられたことを、咲良は心の底から嬉しく思っている。
今日は新しい門出だ。
窓辺から入ってくる柔らかな風にヴェールが揺れる。咲良は純白のドレスに身を包みながら、そうして恭平と出会った日から今日までのことを思い出していた。