諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
咲良が硬い表情で問いかけると、恭平はなぜか意表を突かれた顔をした。しかし一度尋ねると、咲良の疑問は膨らんで止まらなくなる。彼が口を挟む前に咲良は続けた。
「あの日、大使館パーティーの時、高宮さんは私のことを見ていた、とおっしゃっていたので、何か助言というか苦言というか忠告というか、そういったものを……やんわりと伝えたくて気を遣っていただいているのではないかと。こちらこそ、なんでもはっきりおっしゃっていただいて構いませんから」
とどめはいつでも刺してほしいといわんばかりに前のめりになりつつあった咲良を、恭平は慌てて待って、と止めた。
「何か噛み合っていない気がするから聞くけど、ひょっとして君はこれが『デート』とは思っていない?」
「え……デ、デート……」
咲良は思いがけない言葉にきょとんとする。今、彼はデートと言わなかっただろうか。
否、きっと場を和ませようとして……と解釈しようとしていたところ、恭平はうーんと呻った。
「参ったな」
困った顔さえも絵になるような彼に、咲良はドキッとする。彼ほどの経歴を持つ見目麗しい人が、自分をデートに誘ってくれた、という俄かに信じがたい現実を目の当たりにした咲良は、久しく感じていなかった思考停止状態に陥ってしまった。
(デート、これはデート……本当にデート!?)
「そ、そうだったのですか? すみません。私、そういう部分に疎くて、お気を悪くさせてしまったのでは」
咲良はますますそわそわと腰を浮かせてしまいそうになった。
「ああ、落ち着いて。勿論、軽いつもりで誘ったわけじゃない。これも先に言っておくよ。君のことを前から仕事で見かけていた。それで気になっていたという意味だよ」
「趣味合いそうというのも建前じゃなく……ええと」
「うん。すぐに付き合ってくれと言うつもりはない。だが、また会ってほしい。仕事の話もしたいし趣味の話もしたい。君自身に興味を持っている。君のことが知りたいんだ」
咲良は今度、放心したように肩の力を抜いた。
「……驚きました。高宮さんの好みがよくわかりません。過大評価されているのではないかと」
「君こそもっと自己評価を高めるべきでは」
「自信がないというわけではないのですが……まだまだ修行中の身でして。色々と吸収する時期だと思っているのです」
「あの日、大使館パーティーの時、高宮さんは私のことを見ていた、とおっしゃっていたので、何か助言というか苦言というか忠告というか、そういったものを……やんわりと伝えたくて気を遣っていただいているのではないかと。こちらこそ、なんでもはっきりおっしゃっていただいて構いませんから」
とどめはいつでも刺してほしいといわんばかりに前のめりになりつつあった咲良を、恭平は慌てて待って、と止めた。
「何か噛み合っていない気がするから聞くけど、ひょっとして君はこれが『デート』とは思っていない?」
「え……デ、デート……」
咲良は思いがけない言葉にきょとんとする。今、彼はデートと言わなかっただろうか。
否、きっと場を和ませようとして……と解釈しようとしていたところ、恭平はうーんと呻った。
「参ったな」
困った顔さえも絵になるような彼に、咲良はドキッとする。彼ほどの経歴を持つ見目麗しい人が、自分をデートに誘ってくれた、という俄かに信じがたい現実を目の当たりにした咲良は、久しく感じていなかった思考停止状態に陥ってしまった。
(デート、これはデート……本当にデート!?)
「そ、そうだったのですか? すみません。私、そういう部分に疎くて、お気を悪くさせてしまったのでは」
咲良はますますそわそわと腰を浮かせてしまいそうになった。
「ああ、落ち着いて。勿論、軽いつもりで誘ったわけじゃない。これも先に言っておくよ。君のことを前から仕事で見かけていた。それで気になっていたという意味だよ」
「趣味合いそうというのも建前じゃなく……ええと」
「うん。すぐに付き合ってくれと言うつもりはない。だが、また会ってほしい。仕事の話もしたいし趣味の話もしたい。君自身に興味を持っている。君のことが知りたいんだ」
咲良は今度、放心したように肩の力を抜いた。
「……驚きました。高宮さんの好みがよくわかりません。過大評価されているのではないかと」
「君こそもっと自己評価を高めるべきでは」
「自信がないというわけではないのですが……まだまだ修行中の身でして。色々と吸収する時期だと思っているのです」