諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
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四月某日。日本で食品展覧会が行われた。いわゆるジャパンエキスポという催事の一つである。
その日、咲良は恭平と共に会場を回っていた。日本にいる大使や公使は、日本の食文化を知るため、そして母国に広めるために参加しており、日本の企業はもちろんのこと海外からも多くのエキスパートが来日していた。
今日は企業のメディアに向けた新作発表会などはあるが、一般客向けの解放やイベントステージなどはなく、試食や試作を通し、商談の場を設けるのがメインだ。外交官の一人として、恭平がこの会場に参加しており、大使のサポートにつくことになっていた。
先日、その件で咲良は恭平から連絡をもらっていた。
『そこで、通訳係を一人側におきたいから君が担当してくれないか』
『私でいいんですか?』
『ああ、君に是非お願いしたい』
直々に彼から通訳係を依頼される形になってしまい、咲良は戸惑いを隠せなかった。もちろん、依頼があったことは上司に相談し、了承を得てここにいる。
すっかりお気に入りのなったわね、と先輩たちからまたからかわれてしまったけれど、それよりも咲良は恭平がどうして自分を誘うのか、という部分が気がかりだった。
なぜならこの間のデート、の件がひっかかっているからだ。
(でも……高宮さんは仕事中は別に公私混同するわけじゃないし、私がこんなふうに考える方がおかしいのかもしれないわ)
「君が一緒に回ってくれるとスムーズに話が展開できて助かるよ」
最初は彼に何か特別な意図があるのではないかと懐疑的で、言葉通りに喜んでいいものか複雑ではあったが、彼に褒められるのは悪い気はしなかった。
「私こそ勉強になります」
そんなやりとりをしつつ恭平と回っている間に、咲良の中である閃きが起こった。
ひょっとして恭平は、この間の大使館パーティーでのの失敗を挽回させるために、あえて咲良に仕事を振ってくれたのではないだろうか、と。彼ならやりかねない節があるし、それだけの地位と決定権がある。
そんな考えに行き着いた理由はひとつ。
四月某日。日本で食品展覧会が行われた。いわゆるジャパンエキスポという催事の一つである。
その日、咲良は恭平と共に会場を回っていた。日本にいる大使や公使は、日本の食文化を知るため、そして母国に広めるために参加しており、日本の企業はもちろんのこと海外からも多くのエキスパートが来日していた。
今日は企業のメディアに向けた新作発表会などはあるが、一般客向けの解放やイベントステージなどはなく、試食や試作を通し、商談の場を設けるのがメインだ。外交官の一人として、恭平がこの会場に参加しており、大使のサポートにつくことになっていた。
先日、その件で咲良は恭平から連絡をもらっていた。
『そこで、通訳係を一人側におきたいから君が担当してくれないか』
『私でいいんですか?』
『ああ、君に是非お願いしたい』
直々に彼から通訳係を依頼される形になってしまい、咲良は戸惑いを隠せなかった。もちろん、依頼があったことは上司に相談し、了承を得てここにいる。
すっかりお気に入りのなったわね、と先輩たちからまたからかわれてしまったけれど、それよりも咲良は恭平がどうして自分を誘うのか、という部分が気がかりだった。
なぜならこの間のデート、の件がひっかかっているからだ。
(でも……高宮さんは仕事中は別に公私混同するわけじゃないし、私がこんなふうに考える方がおかしいのかもしれないわ)
「君が一緒に回ってくれるとスムーズに話が展開できて助かるよ」
最初は彼に何か特別な意図があるのではないかと懐疑的で、言葉通りに喜んでいいものか複雑ではあったが、彼に褒められるのは悪い気はしなかった。
「私こそ勉強になります」
そんなやりとりをしつつ恭平と回っている間に、咲良の中である閃きが起こった。
ひょっとして恭平は、この間の大使館パーティーでのの失敗を挽回させるために、あえて咲良に仕事を振ってくれたのではないだろうか、と。彼ならやりかねない節があるし、それだけの地位と決定権がある。
そんな考えに行き着いた理由はひとつ。