諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
大使館パーティーの通訳係に咲良が指名されたときのことだ。最初、上司が声をかけてきたときには難色を示していた。他の通訳にしてはどうかと提案したが、相手は咲良がいいのだという話だった。上司は詳細を語らなかったが、上司と話をしていた先輩たちの噂によると、指名したのはどうやらエリート外交官ではないのか、という話だった。
そして今回の件。
普通に考えて企業案件なら、わざわざ回りくどい依頼の仕方なんてしないだろう。
(……だって、そういうことよね? 大使に許可をとった上で彼が私に直接依頼をしてきて、私に依頼があったことを上司に報告をさせたっていうことは……)
初めて二人で食事したレストランでのワインの件も……それとなく彼は誘導して咲良の心の蟠りを打ち消してくれた。
「高宮さん、フランス大使館主催のパーティーで通訳の件、高宮さんからのご指名だったそうですよね」
どうしても気になって仕方なくなってしまい、咲良はあえて確信をもった言い方で、とうとう恭平に事の真相を尋ねた。
「先輩が君に教えてしまったか」
こちらが拍子抜けするくらい、恭平は隠すこともせずあっさりと認めてしまった。
「いえ。先輩の噂話をちらっと小耳にはさんだだけです」
「まあ、その通りだよ」
「それで今日のことも延長戦ということですよね」
恭平は今度は肯定はしないが否定もしない。
察するに、彼にとってもあのままでは示しがつかない部分があったことだろうくらいはわかる。
「別に、君のためだけじゃない。俺のためでもあったんだ」
そう、彼は賢く立ち回る。後々彼にとって益となる場を設けるために。
「依頼した自分の責務ですか?」
「まあ、そうだね」
でも、それだけではないことくらい咲良にだってわかる。彼は面倒見がいい。人を簡単に見捨てたり切り捨てたりということをしなさそうな人だ。勝手ながら、彼を見ているとそんなふうに漫然と思う。だから咲良に挽回の場を設けてくれたのだ。
この間からそんな彼に咲良は惹かれるものを感じていた。外交官としての彼を尊敬する一方、彼というひとりの男性のことをもっと知りたくなっていた。
普段はどんな生活をしているのだろう。彼の素の姿を見てみたい。好きなもの、好きな季節、好きな場所……etc。
色々なことをインタビューしたい気持ちになっていた。それからは自然の流れだったように思う。
そして今回の件。
普通に考えて企業案件なら、わざわざ回りくどい依頼の仕方なんてしないだろう。
(……だって、そういうことよね? 大使に許可をとった上で彼が私に直接依頼をしてきて、私に依頼があったことを上司に報告をさせたっていうことは……)
初めて二人で食事したレストランでのワインの件も……それとなく彼は誘導して咲良の心の蟠りを打ち消してくれた。
「高宮さん、フランス大使館主催のパーティーで通訳の件、高宮さんからのご指名だったそうですよね」
どうしても気になって仕方なくなってしまい、咲良はあえて確信をもった言い方で、とうとう恭平に事の真相を尋ねた。
「先輩が君に教えてしまったか」
こちらが拍子抜けするくらい、恭平は隠すこともせずあっさりと認めてしまった。
「いえ。先輩の噂話をちらっと小耳にはさんだだけです」
「まあ、その通りだよ」
「それで今日のことも延長戦ということですよね」
恭平は今度は肯定はしないが否定もしない。
察するに、彼にとってもあのままでは示しがつかない部分があったことだろうくらいはわかる。
「別に、君のためだけじゃない。俺のためでもあったんだ」
そう、彼は賢く立ち回る。後々彼にとって益となる場を設けるために。
「依頼した自分の責務ですか?」
「まあ、そうだね」
でも、それだけではないことくらい咲良にだってわかる。彼は面倒見がいい。人を簡単に見捨てたり切り捨てたりということをしなさそうな人だ。勝手ながら、彼を見ているとそんなふうに漫然と思う。だから咲良に挽回の場を設けてくれたのだ。
この間からそんな彼に咲良は惹かれるものを感じていた。外交官としての彼を尊敬する一方、彼というひとりの男性のことをもっと知りたくなっていた。
普段はどんな生活をしているのだろう。彼の素の姿を見てみたい。好きなもの、好きな季節、好きな場所……etc。
色々なことをインタビューしたい気持ちになっていた。それからは自然の流れだったように思う。