諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
人を好きになること。その人を想うと感情が揺れ動き、その人のことを多く考えるようになっていく。酸いも甘いもある。嬉しいだけではなく苦しいこともある。出会いがあれば別れもある。必ずしも叶うものではない。お互いがお互いを思い合えることは奇跡といっていい。
(相思相愛……お互いがお互いを想うこと……)
もう一軒だけお酒を、と誘われて咲良は即座に頷いてから、恭平と目が合ってハッとした。
今夜はこのへんで、と別れるのがスマートだっただろうか。そんなふうにビジネス的な思考がよぎったもののの、できるだけ側にいたいという願いには勝てなかった。
「嬉しいよ。一緒にいたいと思ってくれてるのなら」
恭平がそう言ってくれる言葉にますますドキドキしていた。頬に火照りを感じて少しだけ目線を下げると、彼の手が伸びてきて咲良の手を握った。
驚いた咲良は弾かれたように顔を上げた。恭平の表情にはやさしさやおだやかさとは違った、真剣な色が灯っていた。
すぐにその手は離されたが、大きなその手の感触と温もりの名残にまたじわりと頬が熱くなる。
「俺と付き合ってくれないか?」
恭平が真剣な顔で尋ねてくる。
「はい。ぜひ、お付き合いします」
まだ一緒にいていい、それを喜んでもいいんだ、と咲良は声を弾ませた。
しかしなぜか彼は困った顔をした。
「ちゃんと話を聞いていた?」
「高宮さんには付き合います。さっきお伝えしましたが」
もう一軒お酒を……という話ではなかったのか、と咲良は首を傾げた。それで今、二人は店を出てきたと思ったのだが。
すると、恭平はふっと笑った。
「やっぱりちゃんと伝わってなかったな。そういう意味じゃなくて、恋という意味で」
「こ、恋!」
さっき自分の内側で悶々と考えていたテーマを持ち出され、咲良は動揺する。夜道で急に声を上げてしまった自分にも驚いて周りを確かめてしまう。
恭平はまだ笑っている。
「挙動不審になるのが面白い」
「か、からかわないでいただけますか」
咲良はムッとして反論する。
「ごめん。からかうつもりなんじゃなくて。興味深いっていう話だよ。今度は怒り出すし。案外、君は色々な顔を持っているんだな」
興味深そうな顔をした恭平を見つめ返しつつ、咲良は必死に今、言葉を選んでいた。
「……今、少し考えています」
「うん。答えはすぐに出そうとしなくていい」
(相思相愛……お互いがお互いを想うこと……)
もう一軒だけお酒を、と誘われて咲良は即座に頷いてから、恭平と目が合ってハッとした。
今夜はこのへんで、と別れるのがスマートだっただろうか。そんなふうにビジネス的な思考がよぎったもののの、できるだけ側にいたいという願いには勝てなかった。
「嬉しいよ。一緒にいたいと思ってくれてるのなら」
恭平がそう言ってくれる言葉にますますドキドキしていた。頬に火照りを感じて少しだけ目線を下げると、彼の手が伸びてきて咲良の手を握った。
驚いた咲良は弾かれたように顔を上げた。恭平の表情にはやさしさやおだやかさとは違った、真剣な色が灯っていた。
すぐにその手は離されたが、大きなその手の感触と温もりの名残にまたじわりと頬が熱くなる。
「俺と付き合ってくれないか?」
恭平が真剣な顔で尋ねてくる。
「はい。ぜひ、お付き合いします」
まだ一緒にいていい、それを喜んでもいいんだ、と咲良は声を弾ませた。
しかしなぜか彼は困った顔をした。
「ちゃんと話を聞いていた?」
「高宮さんには付き合います。さっきお伝えしましたが」
もう一軒お酒を……という話ではなかったのか、と咲良は首を傾げた。それで今、二人は店を出てきたと思ったのだが。
すると、恭平はふっと笑った。
「やっぱりちゃんと伝わってなかったな。そういう意味じゃなくて、恋という意味で」
「こ、恋!」
さっき自分の内側で悶々と考えていたテーマを持ち出され、咲良は動揺する。夜道で急に声を上げてしまった自分にも驚いて周りを確かめてしまう。
恭平はまだ笑っている。
「挙動不審になるのが面白い」
「か、からかわないでいただけますか」
咲良はムッとして反論する。
「ごめん。からかうつもりなんじゃなくて。興味深いっていう話だよ。今度は怒り出すし。案外、君は色々な顔を持っているんだな」
興味深そうな顔をした恭平を見つめ返しつつ、咲良は必死に今、言葉を選んでいた。
「……今、少し考えています」
「うん。答えはすぐに出そうとしなくていい」