諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
世界の地理や歴史や文化についてはひととおり学生時代から通訳になる今に至るまで知識を深めてはいるけれど、すべてを網羅できているわけではない。
博識であろう大先輩の話についていけるといいのだが。彼ら家族に受け入れてもらう場であることを意識すればするほど、恭平にほぐしてもらった緊張が戻ってきてしまいドキドキと早鐘を打っていた。
地中海料理店に到着し、受付に声をかけると恭平と共にすぐに予約席へと案内された。既に彼の両親は揃って座っていた。
「やあ。我々も今ちょうど着いたところだ」
嗣利が気遣ってくれたらしく咲良に微笑みをくれる。それに乗じるように和葉も「ええ」と頷いてみせた。
恭平はどちらに似たのか、どちらにも似ているような気がする。しかしじっくり判別できる余裕は咲良にはない。
「紹介するよ。百川咲良さん」
「は、初めまして。ご紹介に預かりました百川咲良と申します。恭平さんとはお仕事を通じて知り合いまして、真剣にお……お付き合いさせていただいております」
緊張で震えた声とぎくしゃくとした動きは傍から見たらアンティークのロボットのようにぎこちなかったかもしれない。
「……咲良、そこは俺が言うセリフ」
恭平が少しだけ困ったように笑った。
「あ……」
咲良は跳ねるように肩を竦めた。
「そうでしたか。恭平があなたのような素敵な女性とのご縁にあやかれたようで何よりです」
まずは座ろう、と恭平が椅子を引いてくれたのでそのまま着席する。その時点でもう酸欠になりそうな気がしてしまう。
「咲良さん、素敵なお名前ね」
「彼女は通訳をしてるんだよ。何度か一緒になったことがあるんだが、大使館パーティーでも見事な仕事ぶりだった」
なるほど、と嗣利が頷く。
「恭平が我々に紹介したい人がいると言い出したのは初めてだったのでね。どんな素敵なお嬢さんかと楽しみにしていたんですよ」
「ようやく、身を固める気になったのかと思うと嬉しいわ。これまでいくら縁談をもちかけてもうんともすんとも言わないのだもの」
和葉が安堵の息をつく。
「……ようやく、といえるほどの年齢でもありませんが」
と、恭平が苦笑する。和葉も納得しないことには黙っていられる性格ではないらしく、即座に彼に反論した。
「あら。前に噂にあった女性は? 同僚の外交官だったら? もしも同じくらいの女性ならどうしていたの?」
博識であろう大先輩の話についていけるといいのだが。彼ら家族に受け入れてもらう場であることを意識すればするほど、恭平にほぐしてもらった緊張が戻ってきてしまいドキドキと早鐘を打っていた。
地中海料理店に到着し、受付に声をかけると恭平と共にすぐに予約席へと案内された。既に彼の両親は揃って座っていた。
「やあ。我々も今ちょうど着いたところだ」
嗣利が気遣ってくれたらしく咲良に微笑みをくれる。それに乗じるように和葉も「ええ」と頷いてみせた。
恭平はどちらに似たのか、どちらにも似ているような気がする。しかしじっくり判別できる余裕は咲良にはない。
「紹介するよ。百川咲良さん」
「は、初めまして。ご紹介に預かりました百川咲良と申します。恭平さんとはお仕事を通じて知り合いまして、真剣にお……お付き合いさせていただいております」
緊張で震えた声とぎくしゃくとした動きは傍から見たらアンティークのロボットのようにぎこちなかったかもしれない。
「……咲良、そこは俺が言うセリフ」
恭平が少しだけ困ったように笑った。
「あ……」
咲良は跳ねるように肩を竦めた。
「そうでしたか。恭平があなたのような素敵な女性とのご縁にあやかれたようで何よりです」
まずは座ろう、と恭平が椅子を引いてくれたのでそのまま着席する。その時点でもう酸欠になりそうな気がしてしまう。
「咲良さん、素敵なお名前ね」
「彼女は通訳をしてるんだよ。何度か一緒になったことがあるんだが、大使館パーティーでも見事な仕事ぶりだった」
なるほど、と嗣利が頷く。
「恭平が我々に紹介したい人がいると言い出したのは初めてだったのでね。どんな素敵なお嬢さんかと楽しみにしていたんですよ」
「ようやく、身を固める気になったのかと思うと嬉しいわ。これまでいくら縁談をもちかけてもうんともすんとも言わないのだもの」
和葉が安堵の息をつく。
「……ようやく、といえるほどの年齢でもありませんが」
と、恭平が苦笑する。和葉も納得しないことには黙っていられる性格ではないらしく、即座に彼に反論した。
「あら。前に噂にあった女性は? 同僚の外交官だったら? もしも同じくらいの女性ならどうしていたの?」