諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
いきなり現れた第三者の存在に戸惑い、挨拶をする言葉すら出てこない。紹介する予定などではなく既に決定事項であるのだと和葉の様子から窺えたからだ。
「近々、彼女を連れてフランスに発つわ。恭平には彼女との婚約をさせるつもりよ」
「そんな勝手に!」
「勝手ですって? あなたこそ勝手が過ぎるわ。しょせん口約束の婚約でしょう? それで納得なさらないなら、手切れ金を幾ら用意したらいいか、弁護士を通して改めて連絡を……」
「お願いですから、待ってください!」
口約束、手切れ金、弁護士……どんどん話がこじれていってしまう。何もできないうちに咲良の手には負えないところまで。恭平がどんどん遠ざかっていく気がして、思わず咲良は息を荒らげて椅子から立ち上がっていた。
「まあ、みっともない」
和葉が軽蔑するような目を向ける。
けれど、咲良はそのまま動けなくなってしまった。
「あの、私が口を挟むことではないのかもしれないけれど、もしあなたが恭平さんを大事に思うのなら、彼のためになることを最優先に考えるべきだと思うわ」
梨乃が同情を込めた目で咲良を見る。
ごらんなさい、と和葉は誇らしげに彼女を一瞥し、咲良を睨んだ。
「彼女はCAをやめる覚悟をしてくれている。あなたにはそれができる? 外交官の妻になること、少なくとも高宮家は夫の傍に妻がいることは必須。そういう家系であることを理解していただかなくては。うちにあなたは相応しくないの」
「それはお母様の考えではないのですか? 恭平さんの意思はどうなのですか」
「今、彼女があなたに言ったことがすべてよ。恭平のことを最優先に考えてちょうだい。それが答えになるはずだわ」
「私は……っ」
恭平のことを愛している。そんな感情的な結論を、和葉は先に封じ込める。
「わかってちょうだい。一時の感情的な結末は二人に影響を与えない。この結論こそが、恭平のためになることなの」
「恭平さんの、ため……」
「ええ。そうよ」
強い視線に釘を刺され、咲良は茫然と立ちすくむ。
「あらあら。お食事がもったいないわね。せっかくだから梨乃さん召しあがっていってちょうだい」
「よろしいのですか?」
梨乃はこちらを気にするそぶりを見せるが、和葉もう咲良を見なかった。
「ええ。もちろんよ。たまには一緒にゆっくり過ごしましょう。あなたとは今後について話したいことが沢山あるの」
「近々、彼女を連れてフランスに発つわ。恭平には彼女との婚約をさせるつもりよ」
「そんな勝手に!」
「勝手ですって? あなたこそ勝手が過ぎるわ。しょせん口約束の婚約でしょう? それで納得なさらないなら、手切れ金を幾ら用意したらいいか、弁護士を通して改めて連絡を……」
「お願いですから、待ってください!」
口約束、手切れ金、弁護士……どんどん話がこじれていってしまう。何もできないうちに咲良の手には負えないところまで。恭平がどんどん遠ざかっていく気がして、思わず咲良は息を荒らげて椅子から立ち上がっていた。
「まあ、みっともない」
和葉が軽蔑するような目を向ける。
けれど、咲良はそのまま動けなくなってしまった。
「あの、私が口を挟むことではないのかもしれないけれど、もしあなたが恭平さんを大事に思うのなら、彼のためになることを最優先に考えるべきだと思うわ」
梨乃が同情を込めた目で咲良を見る。
ごらんなさい、と和葉は誇らしげに彼女を一瞥し、咲良を睨んだ。
「彼女はCAをやめる覚悟をしてくれている。あなたにはそれができる? 外交官の妻になること、少なくとも高宮家は夫の傍に妻がいることは必須。そういう家系であることを理解していただかなくては。うちにあなたは相応しくないの」
「それはお母様の考えではないのですか? 恭平さんの意思はどうなのですか」
「今、彼女があなたに言ったことがすべてよ。恭平のことを最優先に考えてちょうだい。それが答えになるはずだわ」
「私は……っ」
恭平のことを愛している。そんな感情的な結論を、和葉は先に封じ込める。
「わかってちょうだい。一時の感情的な結末は二人に影響を与えない。この結論こそが、恭平のためになることなの」
「恭平さんの、ため……」
「ええ。そうよ」
強い視線に釘を刺され、咲良は茫然と立ちすくむ。
「あらあら。お食事がもったいないわね。せっかくだから梨乃さん召しあがっていってちょうだい」
「よろしいのですか?」
梨乃はこちらを気にするそぶりを見せるが、和葉もう咲良を見なかった。
「ええ。もちろんよ。たまには一緒にゆっくり過ごしましょう。あなたとは今後について話したいことが沢山あるの」