諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
日本の外務省で内勤していた時にもフランス大使館との繋がりを持っていた恭平には色々と勝手がわかっているとはいえ、国内の異国の地と異国の地の国内では、対応の仕方にも差が出るというものだ。こういうとき、日本がまだ諸外国に比べると比較的だが治安のよい国であるということを実感せざるを得ない。
大規模火災にテロ疑惑にデモ、それ以外にも外交に関わる予定の調整、弁護士や専門官の手配など、その他にも窓口の事務官では手に負えない事案など大使館の顔である大使の次席として対応していかなければならない。
元より激務であることは覚悟の上。外交官として上手く立ち回る術は若い頃から培ってきた。父の背を追いかけて憧れはあったこそすれ苦に感じたことはない。
しかしその分、自分には圧倒的に欠けているものがある。よくいえば物分かりのいい、割り切りのいい性格。悪くいえば薄情という部分だ。仕事での交渉事は得意だが、恋愛ではその手の駆け引きはうまくいった試しはない。
恭平は先日、咲良から別れを告げられたことを思いの外、引きずっていた。彼女に理解を示した風に見せながら、その実は納得していない部分があるのも確かだ。それほど彼女にのめり込んでいた自分に、今になって気付かされる。
(本当は……俺は君を手放したくなかったよ)
束の間の休憩中に深入りのコーヒーを飲みながら、
咲良のことを思い浮かべていた。
今度こそ……そう思えるような運命の出会いを感じたのは、自分の気のせいだっただろうか。彼女とならば……そんなふうに思ったからこそ、プロポーズしたわけだが。そして、彼女も受け入れてくれたのだと安心しきっていた。だが、実際は互いに見えている将来の目的地が違っていた。
(別れが来ることは、いずれ早いか遅いかの違いだったわけだ)
恭平は未練という呪縛から自身を解放させたくて何度もそう言い聞かせた。
大体、恭平が仕事を優先させたように、咲良が仕事を選んでもなんら不思議なことではない。
外交官という仕事に就いている以上、若いうちならば尚のこと海外から数年戻らないことなんて往々にして在ることだ。そのタイミングで結婚をする外交官も多くいるのは事実だが、皆が機会に恵まれるとは言いきれない。恭平と咲良はそのタイミングが悪かった。向いている方向が揃わなかった、ただそれだけのこと。
大規模火災にテロ疑惑にデモ、それ以外にも外交に関わる予定の調整、弁護士や専門官の手配など、その他にも窓口の事務官では手に負えない事案など大使館の顔である大使の次席として対応していかなければならない。
元より激務であることは覚悟の上。外交官として上手く立ち回る術は若い頃から培ってきた。父の背を追いかけて憧れはあったこそすれ苦に感じたことはない。
しかしその分、自分には圧倒的に欠けているものがある。よくいえば物分かりのいい、割り切りのいい性格。悪くいえば薄情という部分だ。仕事での交渉事は得意だが、恋愛ではその手の駆け引きはうまくいった試しはない。
恭平は先日、咲良から別れを告げられたことを思いの外、引きずっていた。彼女に理解を示した風に見せながら、その実は納得していない部分があるのも確かだ。それほど彼女にのめり込んでいた自分に、今になって気付かされる。
(本当は……俺は君を手放したくなかったよ)
束の間の休憩中に深入りのコーヒーを飲みながら、
咲良のことを思い浮かべていた。
今度こそ……そう思えるような運命の出会いを感じたのは、自分の気のせいだっただろうか。彼女とならば……そんなふうに思ったからこそ、プロポーズしたわけだが。そして、彼女も受け入れてくれたのだと安心しきっていた。だが、実際は互いに見えている将来の目的地が違っていた。
(別れが来ることは、いずれ早いか遅いかの違いだったわけだ)
恭平は未練という呪縛から自身を解放させたくて何度もそう言い聞かせた。
大体、恭平が仕事を優先させたように、咲良が仕事を選んでもなんら不思議なことではない。
外交官という仕事に就いている以上、若いうちならば尚のこと海外から数年戻らないことなんて往々にして在ることだ。そのタイミングで結婚をする外交官も多くいるのは事実だが、皆が機会に恵まれるとは言いきれない。恭平と咲良はそのタイミングが悪かった。向いている方向が揃わなかった、ただそれだけのこと。