諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
思い返してみれば、最後の方の彼は怒っているみたいだった。初めてあんなふうに冷たくされたかもしれない。当たり前だ。あんな一方的な別れの突き付け方をされたら彼だって傷つくだろう。それを前面に出さずに咲良を責めることもしない。いつだって咲良を優先してくれていた。
これじゃあ咲良の方こそ和葉のことを責めることなんてできない。自分だって同じようなことをしてしまったのだから――。
今は、祖父母と通話をする気になれない。
通話ボタンを押すのを躊躇っている間しばらくコールが鳴り続けたままだったが、やがてその音は止まった。
和葉と対峙したときのことが自然と思い出される。
ひょっとしたら、祖父母は和葉が訪れたことを報告するために電話をかけてきたのかもしれない。それならますます今は何も話す気になれなかった。
(ごめんね、おじいちゃん、おばあちゃん。落ち着いたら必ず連絡するから)
昨日の夕方あたりから胃のあたりがむかむかして気持ち悪い。ずっと考え事をしていたせいだろうか。あれからずっと食欲がなくて夜もあまり眠れてもいないせいだろうか。
せめて水分をとろうと立ち上がったときだった。急な眩暈と共にこみ上げるような吐き気がやってきて、咲良は慌ててお手洗いに駆け込んだ。
気持ち悪かったが、胃液しか出てこない。何も出るものがないから余計に苦しくて、しばらくいやな動悸と冷や汗が治まるのをひたすら待つだけだった。
よろよろと立ち上がって洗面所の鏡を見る。顔面蒼白という言葉の意味を生まれて初めて理解する。その言葉通りに血の気が引いてまるで死人のように肌が白く青々としている。
食事をとれていないせいで貧血を起こしたのだろうかと思ったけれど……そのとき、咲良はあることに気付く。
(待って……そういえば)
しばらく生理が来ていない。
いつからか――。
遅れているとは思っていたけれど、あれから忙しくてそこまで気にかけていなかった。その間に色々あったせいですっかり忘れていた。
(まさか……)
ドクン、ドクン、と再び動悸がしてくる。不穏な予感が這い上がってきて額に汗が浮かんでくる。その汗はいくら拭っても拭いきれない。動かす手がただ小刻みに震えていた。
(どうしよう……)
これじゃあ咲良の方こそ和葉のことを責めることなんてできない。自分だって同じようなことをしてしまったのだから――。
今は、祖父母と通話をする気になれない。
通話ボタンを押すのを躊躇っている間しばらくコールが鳴り続けたままだったが、やがてその音は止まった。
和葉と対峙したときのことが自然と思い出される。
ひょっとしたら、祖父母は和葉が訪れたことを報告するために電話をかけてきたのかもしれない。それならますます今は何も話す気になれなかった。
(ごめんね、おじいちゃん、おばあちゃん。落ち着いたら必ず連絡するから)
昨日の夕方あたりから胃のあたりがむかむかして気持ち悪い。ずっと考え事をしていたせいだろうか。あれからずっと食欲がなくて夜もあまり眠れてもいないせいだろうか。
せめて水分をとろうと立ち上がったときだった。急な眩暈と共にこみ上げるような吐き気がやってきて、咲良は慌ててお手洗いに駆け込んだ。
気持ち悪かったが、胃液しか出てこない。何も出るものがないから余計に苦しくて、しばらくいやな動悸と冷や汗が治まるのをひたすら待つだけだった。
よろよろと立ち上がって洗面所の鏡を見る。顔面蒼白という言葉の意味を生まれて初めて理解する。その言葉通りに血の気が引いてまるで死人のように肌が白く青々としている。
食事をとれていないせいで貧血を起こしたのだろうかと思ったけれど……そのとき、咲良はあることに気付く。
(待って……そういえば)
しばらく生理が来ていない。
いつからか――。
遅れているとは思っていたけれど、あれから忙しくてそこまで気にかけていなかった。その間に色々あったせいですっかり忘れていた。
(まさか……)
ドクン、ドクン、と再び動悸がしてくる。不穏な予感が這い上がってきて額に汗が浮かんでくる。その汗はいくら拭っても拭いきれない。動かす手がただ小刻みに震えていた。
(どうしよう……)