諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
「……ええ。実はいたのよ。あのあと知り合って、とても素敵な人で……私にはもったいないくらい」
本当に素敵な人だった。大好きな人だった。どれだけ後悔してももう遅いのに。なのに、お腹の中に彼との子がいると思うと、どうしようもなく愛おしくて、ますます泣きたくなってしまう。
(ごめんなさい。あなたは、恭平さんと私を繋いでくれたのに……)
『さくらちゃん、どうしたの?』
「……体調がよくなくて、しばらく会社を休んでるの」
そこまで伝えてから涙が溢れてきて言葉に詰まってしまった。そこから息が漏れて、言葉が続かない。
祖母のあたたかな声に触発されたのだろうか。気が抜けてしまったのか。
情けなくて声も出せずに震えていると、何かを察したらしい祖母が、少しだけ黙ったあと語り掛けるように言った。
『ねえ、さくらちゃん。これだけは言っておくわ。あなたはこれまでがむしゃらに進んできたじゃない。前へ前へ上へ上へって。でも、人生、少しばかり回り道をすることも必要よ。それとね、いつでも私たちのところを頼ってちょうだいな。実家っていうのはね、そのためにあるんだからね。ほら、おじいさんもなんか言ってちょうだいな』
側に祖父もいたようだ。祖母に代わって祖父の声が近くなった。
『そうだぞ。さくら、困ったことがあったら、いや、たとえなくても。いつでもこっちに帰ってきなさい。なんての。顔を見せてほしいんじゃよ。たまには祖父母孝行する気にはならんか?』
『おじいさんったら、孫を脅してどうするの』
『……しっわざとじゃよ。ばあさん、おまえさんこそ空気を読みなさいって』
電話口で言い合いをし出した仲良しの祖父母に、泣き出しそうだった咲良は思わず笑ってしまった。
「二人とも……心配かけてごめんね。ありがとう」
咲良はスマホを握る手にぎゅっと力を込める。
せめて祖父母の気持ちに報いたくて、感謝の気持ちを必死に言葉にしていた。
それから――。
咲良は休みの間に延々と考えていた。これから自分がどうすべきか。まずは心の整理が必要かもしれない。今までのことを冷静に考えることからはじめた。
先日、咲良は身勝手に恭平に別れを告げた。和葉の話を聞いた上で、彼のためにならないのはもっともだと腑に落ちたからだ。彼には咲良よりも相応しい人がいると言われればそうだとも納得した。
本当に素敵な人だった。大好きな人だった。どれだけ後悔してももう遅いのに。なのに、お腹の中に彼との子がいると思うと、どうしようもなく愛おしくて、ますます泣きたくなってしまう。
(ごめんなさい。あなたは、恭平さんと私を繋いでくれたのに……)
『さくらちゃん、どうしたの?』
「……体調がよくなくて、しばらく会社を休んでるの」
そこまで伝えてから涙が溢れてきて言葉に詰まってしまった。そこから息が漏れて、言葉が続かない。
祖母のあたたかな声に触発されたのだろうか。気が抜けてしまったのか。
情けなくて声も出せずに震えていると、何かを察したらしい祖母が、少しだけ黙ったあと語り掛けるように言った。
『ねえ、さくらちゃん。これだけは言っておくわ。あなたはこれまでがむしゃらに進んできたじゃない。前へ前へ上へ上へって。でも、人生、少しばかり回り道をすることも必要よ。それとね、いつでも私たちのところを頼ってちょうだいな。実家っていうのはね、そのためにあるんだからね。ほら、おじいさんもなんか言ってちょうだいな』
側に祖父もいたようだ。祖母に代わって祖父の声が近くなった。
『そうだぞ。さくら、困ったことがあったら、いや、たとえなくても。いつでもこっちに帰ってきなさい。なんての。顔を見せてほしいんじゃよ。たまには祖父母孝行する気にはならんか?』
『おじいさんったら、孫を脅してどうするの』
『……しっわざとじゃよ。ばあさん、おまえさんこそ空気を読みなさいって』
電話口で言い合いをし出した仲良しの祖父母に、泣き出しそうだった咲良は思わず笑ってしまった。
「二人とも……心配かけてごめんね。ありがとう」
咲良はスマホを握る手にぎゅっと力を込める。
せめて祖父母の気持ちに報いたくて、感謝の気持ちを必死に言葉にしていた。
それから――。
咲良は休みの間に延々と考えていた。これから自分がどうすべきか。まずは心の整理が必要かもしれない。今までのことを冷静に考えることからはじめた。
先日、咲良は身勝手に恭平に別れを告げた。和葉の話を聞いた上で、彼のためにならないのはもっともだと腑に落ちたからだ。彼には咲良よりも相応しい人がいると言われればそうだとも納得した。