諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
恭平が振り向く。驚いた顔をした彼は困ったように眉を下げた。泣きそうになっている咲良の表情に気付いたらしかった。
なんて憎らしい人。なんて愛おしい人。
嫌いになんてなれない。忘れることなんてできない。
ダメだと思っていたのに、恭平の顔を見るたびに、彼の言葉に触れるたびに、少しずつ綻んでいってしまう。ずっと長い間、抑え込んでいた想いがこみ上げてきてしまう。
ああ、何から彼に伝えたらいいだろうか。喉の奥がきつく絞られてうまく声にならない。色々な感情が渦巻いて絡まって、上手に説明できる自信がない。
でも、きちんと伝えなかったら後悔する。もうあのときの自分とは違うのだから。彼が受け入れてくれるというのなら、咲良からも本音を伝えて歩み寄っていくべきではないのだろうか。
二人の間には大事な恵茉の存在がいる。二人の愛し合った証であり結晶であり大事な命……それは、咲良だけのものではない。恵茉は二人の娘なのだ。
本当はわかっていた。彼を突き放せば解決することではないのだと。ただ、恐れていただけだった。あんなふうに勝手な別れを告げた上に、今の自分を彼に愛してもらえる自信がなかったのだ。
『もう後悔したくないし、させたくないんだ。咲良、どうか俺の手をとってくれないか』
恭平が伝えてくれた言葉をゆっくり反芻する。
それから、背中を押してくれた祖父母の言葉も。
『あなたには、あのとき……ひとりで恵茉を育てると決めた覚悟や勇気があったはず。ならば、今度もまた覚悟や勇気をもって彼についていきなさい。そういう運命の時がきたのよ、咲良』
『すまない。二人の話し声が聞こえたもので。若い者の邪魔をするつもりはなかったんだが……しかし、ばあさんの言うとおりだ。儂もそう思う。意固地になっても何も先には進まないもんだ。なあ、咲良』
今度こそ、離れない運命を掴んでもいいと許されるのなら――。
咲良が何から言っていいか整理のつかない感情で押し黙っている間も、恭平が待っていてくれる。
大丈夫。ちゃんと彼なら聞いてくれる。甘えてはいけないなんてもうそんな考えはもうきっと必要ない。
今こそ、向き合う時が来たのだ。
「焦らないでいい……少しずつでいい。待ってるから、君の考えを言ってくれたらいいよ」
なんて憎らしい人。なんて愛おしい人。
嫌いになんてなれない。忘れることなんてできない。
ダメだと思っていたのに、恭平の顔を見るたびに、彼の言葉に触れるたびに、少しずつ綻んでいってしまう。ずっと長い間、抑え込んでいた想いがこみ上げてきてしまう。
ああ、何から彼に伝えたらいいだろうか。喉の奥がきつく絞られてうまく声にならない。色々な感情が渦巻いて絡まって、上手に説明できる自信がない。
でも、きちんと伝えなかったら後悔する。もうあのときの自分とは違うのだから。彼が受け入れてくれるというのなら、咲良からも本音を伝えて歩み寄っていくべきではないのだろうか。
二人の間には大事な恵茉の存在がいる。二人の愛し合った証であり結晶であり大事な命……それは、咲良だけのものではない。恵茉は二人の娘なのだ。
本当はわかっていた。彼を突き放せば解決することではないのだと。ただ、恐れていただけだった。あんなふうに勝手な別れを告げた上に、今の自分を彼に愛してもらえる自信がなかったのだ。
『もう後悔したくないし、させたくないんだ。咲良、どうか俺の手をとってくれないか』
恭平が伝えてくれた言葉をゆっくり反芻する。
それから、背中を押してくれた祖父母の言葉も。
『あなたには、あのとき……ひとりで恵茉を育てると決めた覚悟や勇気があったはず。ならば、今度もまた覚悟や勇気をもって彼についていきなさい。そういう運命の時がきたのよ、咲良』
『すまない。二人の話し声が聞こえたもので。若い者の邪魔をするつもりはなかったんだが……しかし、ばあさんの言うとおりだ。儂もそう思う。意固地になっても何も先には進まないもんだ。なあ、咲良』
今度こそ、離れない運命を掴んでもいいと許されるのなら――。
咲良が何から言っていいか整理のつかない感情で押し黙っている間も、恭平が待っていてくれる。
大丈夫。ちゃんと彼なら聞いてくれる。甘えてはいけないなんてもうそんな考えはもうきっと必要ない。
今こそ、向き合う時が来たのだ。
「焦らないでいい……少しずつでいい。待ってるから、君の考えを言ってくれたらいいよ」