諦めの悪い外交官パパは逃げ出しママへの愛が強すぎる
「大丈夫です。心配しないでください。もう逃げませんから」
咲良がきっぱりと断言すると、恭平はようやく安堵の表情を見せてくれた。
これ以上、彼に後悔してほしくはない。過去の苦悩はすべて過去に置いてきたい。これから恭平と恵茉と三人で前に進んでいこうと決めたのだから。
「そうだった。大事なことを伝えなくちゃ」
「何?」
「その、恵茉に……ちゃんと教えてあげないといけないなって思っていたんです。恭平さんが一体何者なのか」
「何者か、か。いいよ。君に改めて紹介をお願いするよ」
恭平はそう言って少しだけ笑った。
咲良が畏まって照れたようにしていたからかもしれない。
「恵茉、おいで」
コホン、と咲良が咳ばらいをすると、恵茉が首を傾げた。
「ママ?」
「そう、私はママです。正式名称はお母さんです。じゃあ、こちらの方はどなたでしょう?」
「サンタたん?」
思わず咲良ががくっと崩れ落ちると、隣で恭平が笑った。ツボにはまったらしく喉の奥を振るわせている。大事な局面だというのにすっかり締まらない場面になってしまった。
「恭平さん、そこで笑わないでください」
「いや、ごめん。話の腰を折るつもりはなかったんだけど、俺はサンタだったのか。あながち間違いではないんじゃないか? まあ、いうなれば、あわてんぼうのサンタではなく季節外れの大遅刻……あきれたサンタだな」
恭平が自虐的にそう言いつつ、恵茉にやさしく微笑みかける。
「だが、サンタさんよりも、もっと特別な存在でありたいと思うよ。恵茉」
「ヒントは……」
咲良は詩集の一冊の挿絵を思い出して開いて見せた。親子が空を見上げて星に願いごとを唱えているシーンの絵が描かれている。
「恵茉とママと……これは?」
「パパ」
「そう。パパだよ。パパと、お父さんと会えたんだよ」
「エマ、ママ、エマ、パパ?」
恵茉は保育園に迎えにくる女の人と男の人を気にかけるような顔をしていたことがあった。
「エマ、ママ。エマ、パパ」
閃いたように恵茉が言葉を紡ぐ。何度もリズムに乗せてまるで歌うように。
「うん。遅れて迎えにきてごめん……恵茉。君のこともママのことも、これからパパの俺が幸せにするって誓うよ」
「パパ!」
恵茉が咲良の顔を見てそれから恭平に満面の笑みを向けた。その瞬間、恭平が咲良と恵茉をまとめてぎゅっと抱きしめてきた。
咲良がきっぱりと断言すると、恭平はようやく安堵の表情を見せてくれた。
これ以上、彼に後悔してほしくはない。過去の苦悩はすべて過去に置いてきたい。これから恭平と恵茉と三人で前に進んでいこうと決めたのだから。
「そうだった。大事なことを伝えなくちゃ」
「何?」
「その、恵茉に……ちゃんと教えてあげないといけないなって思っていたんです。恭平さんが一体何者なのか」
「何者か、か。いいよ。君に改めて紹介をお願いするよ」
恭平はそう言って少しだけ笑った。
咲良が畏まって照れたようにしていたからかもしれない。
「恵茉、おいで」
コホン、と咲良が咳ばらいをすると、恵茉が首を傾げた。
「ママ?」
「そう、私はママです。正式名称はお母さんです。じゃあ、こちらの方はどなたでしょう?」
「サンタたん?」
思わず咲良ががくっと崩れ落ちると、隣で恭平が笑った。ツボにはまったらしく喉の奥を振るわせている。大事な局面だというのにすっかり締まらない場面になってしまった。
「恭平さん、そこで笑わないでください」
「いや、ごめん。話の腰を折るつもりはなかったんだけど、俺はサンタだったのか。あながち間違いではないんじゃないか? まあ、いうなれば、あわてんぼうのサンタではなく季節外れの大遅刻……あきれたサンタだな」
恭平が自虐的にそう言いつつ、恵茉にやさしく微笑みかける。
「だが、サンタさんよりも、もっと特別な存在でありたいと思うよ。恵茉」
「ヒントは……」
咲良は詩集の一冊の挿絵を思い出して開いて見せた。親子が空を見上げて星に願いごとを唱えているシーンの絵が描かれている。
「恵茉とママと……これは?」
「パパ」
「そう。パパだよ。パパと、お父さんと会えたんだよ」
「エマ、ママ、エマ、パパ?」
恵茉は保育園に迎えにくる女の人と男の人を気にかけるような顔をしていたことがあった。
「エマ、ママ。エマ、パパ」
閃いたように恵茉が言葉を紡ぐ。何度もリズムに乗せてまるで歌うように。
「うん。遅れて迎えにきてごめん……恵茉。君のこともママのことも、これからパパの俺が幸せにするって誓うよ」
「パパ!」
恵茉が咲良の顔を見てそれから恭平に満面の笑みを向けた。その瞬間、恭平が咲良と恵茉をまとめてぎゅっと抱きしめてきた。