『夢列車の旅人』 ~過去へ、未来へ、時空を超えて~ 【新編集版】

(7):1980年


 しばらくすると、照明が消えた。
 真っ暗な中、イントロが聞こえてきた。
 アコースティックギターの音色だった。
 ワンフレーズだけで大歓声が沸き起こった。
 更に、ドラマーにスポットライトが当たって歌が始まると、歓声が一層高まった。
 誰もが知るあの名曲だった。
『ホテル・カリフォルニア』
 演奏しているのはイーグルスだった。
 ドン・ヘンリーのハスキーヴォイスに絡むハイトーンのコーラスが美しい。
 そして、あのギターソロが始まった。
 ドン・フェルダーに続いてジョー・ウォルシュが弾き始めると、鳥肌が立ってきた。
 それほどスリリングな演奏だった。

 エンディングに雪崩れ込んだ。
 ロック史上最高に美しいと言われるギターアンサンブルが始まった。
 ツインリードギターのハーモニーが素晴らしい。
 松山さんはあんぐりと口を開けて聴き入っていた。
 わたしもウットリと聴き惚れていたが、その時、ロボコンの姿がふと思い浮かんだ。

 アッ、ヤバイ! 
 もうすぐ曲が終わりそうだ。
 その前にあれをしなければ大変なことになる、

 わたしは松山さんの腕を掴んで大きく揺さぶった。
 彼を正気に戻さなければならないのだ。
 それも早急に。
 もう一度大きく揺さぶった。

「チケットに手を置いて!」

 わたしは松山さんの耳元で叫んだ。
 すると彼はアッというような顔になって、正気に戻った。
 松山さんが目を瞑ったのを確認してわたしも目を瞑り、「ロボコン」と心の中で叫んだ。
 その瞬間、電車の中に戻った。

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