『夢列車の旅人』 ~過去へ、未来へ、時空を超えて~ 【新編集版】

(17)


 すぐにスタジオを借りてデモテープを作り、大手だけでなく中小も含めたすべてのレコード会社に送った。
 そして待った。
 1日、2日、3日……、
 1週間……、
 メンバー全員で祈りながら待ち続けた。
 しかし、スマホが鳴ることはなく、手紙も来なかった。
 何処のレコード会社からも連絡はなかった。

 2週間経って諦めた。
 メンバー全員で思い切り落ち込んで、酒をかっ食らって、「あいつらは聞く耳がない」とレコード会社を罵倒(ばとう)して、それで気持ちを切り替えた。
 レコード会社から連絡は来なかったが、しっかりとした手応えを感じられていたからだ。
 ライヴハウスでその曲を演奏するとメチャクチャ盛り上がって、必ずアンコールを求められた。
 サビの部分を一緒に歌う客が増えて毎回大合唱になった。
 噂が噂を呼んで、立ち見の客で会場が埋め尽くされるようになった。

 俺たちは次の準備にかかることにした。
 もっとカッコいい、もっとインパクトのある曲を作るのだ。
 前回同様ドラマーが叩く色々なリズムをバックに俺がリフを弾いてヴォーカルがメロディを乗せていく作業を繰り返した。

 期待以上の曲が出来上がったのは8日後だった。
 今回はすぐにデモテープ作りはしなかった。
 ライヴハウスで演奏をしながら曲を磨いていくことを優先した。

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