君ともう一度、 恋を始めるために
「先延ばししても、いいことは何もないのよ」
「ええ、わかってる」

優香が心配してくれる気持ちはうれしいし、柚葉だって早いうちに打ち明けなくてはいけないと思っているが、内容が内容だけに電話やメッセージで簡単に伝えるようなことでもない。
ちゃんと顔を見合わせて冷静に話をしたいと考えていたら、切り出すタイミングを逃してしまったのだ。

「それと、妙な噂を聞いたんだけれど・・・」

柚葉の顔色を窺うように、優香が言葉を止めた。
どうやらとても言いにくい話のようだが、柚葉にも思い当たることがあった。

「もしかして旅館のこと?」

思わず反応した柚葉に、優香はコクリと頷く。
やはりそうかと思う反面、柚葉はショックを隠し切れなかった。

「何があったの?」

表情を曇らせた柚葉に、優香の不安そうな顔。

「うん、実は」

唯一の親友である優香に、柚葉は悩みを打ち明けることにした。
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