君ともう一度、 恋を始めるために
「これ以上、柚葉と莉奈に手を出すなら、法的措置を取るからな」

突き放すように涼が言うと、玲奈は静かに涙を流しだした。

「頼むから、もう何もしないでくれ」

子供の頃から共に育った幼なじみとして、これ以上玲奈を傷つけたくはない。
このまま玲奈が手を引いてくれれば、事件を表沙汰にするつもりもない。

「どうして、柚葉さんなの?」
「え?」

今度は涼の方がポカンと見つめ返した。

「私はずっと涼だけを見てきたわ。いつか涼と結婚することを夢に見ていた」
「それは親同士が勝手に決めたことだ」
「それでも、私は涼が好きだったの」

真っすぐに挑んでくるような眼差しが、涼に向けられた。
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