魔法のマーメイドクラブ
「ほい」

 わたしの耳に栓をするように、ポンッと入れる。

「えっ、なに……?」

『アクア、トモダチ⭐︎』

 小さな声だったから、空耳だったかもしれない。
 でも、もう一度聞こえたの。今度はしっかり、友だちって。目の前のパトラから。

「……虫が、しゃべった!」

 ぐいぐいとアクアちゃんの腕を持ったら、次はなにやら物騒な言葉が出てきた。

『ノロイ』

 呪いって、あの悪霊とかの呪い?
 それとも、ノロマだって言ったのかな。

『オマエ、ノロワレテル』

 やっぱりホラーの方だったらしい。
 まゆ毛をハの字にしながら、パトラは波木さん家の庭へ入って行った。

「なんだったんだろ?」

 キュポンと耳からイヤホンが外れて、アクアちゃんが太陽みたいな笑顔をする。

「気にしなーい、気にしなーい♪」

 急に花が咲いたり、クリオネみたいなちょうちょが話したり。
 不思議なことばかりが起こって、まだ頭が混乱してるけど。

「今日のことは、アクアとミイちゃん、二人だけの秘密ダヨ」
「うん、約束するね」

 指切りと出された小指に、ドキッとした。
 アクアちゃんの手が、魚のウロコみたいにキラキラと反射していたから。

 ペイント……ではなさそう。わたしのアザと違って、すごくキレイ。

 それが何かは聞けなかったけど、わたしたちはギュッと指切りをして、「また明日ね」とさよならした。
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