魔法のマーメイドクラブ
 ひみつだよとウインクしながら、アクアちゃんが池の石に両腕を乗せた。
 手の上に、水色のウロコがついている。この前のは、見間違えじゃなかったんだ。

「正確には、人間と人魚のハーフなんだけどネ〜!」

 アクアちゃんが……、人魚? まだ実感がわかない。

「一緒に遊ぼう〜」

 くいくいと手を引っ張られるけど、この場から動けない。
 だって、わたしは……。

「このままでは、ミナミちゃんは池に入れないんじゃない?」

 波木さんの問いかけに、「あっ!」となにかひらめいたみたい。
 そばに咲いている白い花に、アクアちゃんがチュッと投げキッスをする。つんだそれを「ほいっ」とわたしへ渡した。
 あわあわと受け取ったら、ポンッと花が白い水着へと変わったの。

「……すごい。魔法みたい」

 ひらひらしていて、とても可愛い。
 だけど、すぐに花へ戻ってしまった。
 どうなっちゃったの?

「あらら。なかなか上手くいかないわねぇ」

 波木さんが、手のひらをふわりと動かす。白い花は茎の上へ落っこちて、そのまま頭と体がくっついた。
 ……すごい。まるで時間が巻き戻ったみたいに、花は咲いている状態になっている。

「また失敗だァ。アクア、まだ見習い人魚ナンダ。魔法の練習してるけど、ダメダメなの〜」
< 16 / 85 >

この作品をシェア

pagetop