魔法のマーメイドクラブ
「さすがアクアちゃん!」

 魔法でカラスを追い払っちゃった!
 エイッと両手を広げて、雲を元の場所へ返す呪文をとなえている。

 これで一安心。と思ったのだけど、なんだかアクアちゃんの様子がおかしい。
 集まってきた雲が、わたしたちの上にずっといる。

「アクアちゃん? どうした……の」

 ザーーッと冷たい雨が降ってきて、あっという間にずぶぬれになった。
 なになに⁉︎ どうなってるの⁉︎
 すぐ手をにぎり合ったけど、プツンと命綱(いのちづな)が切れた。スニーカーの羽は故障したように光らなくなって。

「アレ? やっぱ、そうなっチャウ?」

 わたしたちは、手をつないだまま、真っ逆さまに空から落ちていく。

「キャァァァァーーッ!」

 神さま、仏さま、お父さん、お母さん。
 助けてくださいーー!
 必死にアクアちゃんの手をつかみながら、祈ることしかできない。

 雨で溺れる!
 次の瞬間、バフンと一度バウンドして、ドサドサと木の上に落ちた。

 助かった……の?
 ズルズルとすべりながら、ふわんと地面へ倒れ込む。

「イタタ……ごめんネ、ミイちゃん。ケガない?」
「うん、なんとか平気だよ。アクアちゃんは?」
「だいじょうブ!」

 どうやら、アクアちゃんが持っていた魔法アイテムのおかげで助かったらしい。風船がパラシュートの代わりになったみたい。
 よかった。死ぬかと思った。

 落ちたところが、ちょうど芝生(しばふ)にだったから、クッションになったのかもしれない。

「……花池さんと、……海屋敷(うみやしき)さん?」
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