魔法のマーメイドクラブ
 スニーカーをはいて、グランドへ出た。ポツポツと雨が降り始めている。まだ小粒だけど、そのうち大雨になる予報だった。
 なにをするつもりなの?

『アクアは入りたくても入れないんダヨ〜。学校ではダメって言われてるの』

 この前のことを思い出して、ヒヤッとする。水にぬれると、アクアちゃんは人魚になる。

「雨、だいじょうぶ?」

 あわてているのは、わたしだけ。
 両手を広げて、アクアちゃんは気持ちがよさそうにクルクルとまわっていた。
 あれ? 雨が当たっても、なんともないみたい。
 そういえば、空の上で雨の集中攻撃を受けたときも、人魚の尾びれは出ていなかった。

「ん? ヘーキヘーキ! 靴はいてるからイイノ♪ プールは裸足ダカラ、変身しちゃうケド。あ、でもウロコは出るネ」

 笑いながら、アクアちゃんが近くに生えている小さな草を手に取る。カエルが乗っているような、丸い葉っぱ。
 ポシェットから出したシャボン玉を、そこへフゥ〜と吹きかけると。

「わああ!」

 葉がぐんぐんと大きくなって、傘の代わりにできそう。

「それもアイテムの効果なの?」

 すごいけど、あまり学校でやらない方がいいんじゃないかな。
 みんな、今は教室にいるから、見つかることはないと思うけど。

「このシャボン玉はネ、物の大きさヲ……」

 ジャリッ。そのとき、背中の方で石を踏んだ音がした。
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