魔法のマーメイドクラブ
臨海学校のお知らせが配られたのは、その二日後だった。
秘密基地に集まって、みんなでお菓子パーティーをしているなか、わたしは黙って座っている。
二泊三日のしおりをながめながら、ため息ばかり。
「リンカイガッコウって、ナニ〜?」
ポッキーとポテトチップスを両手でつまみ、アクアちゃんがしおりをのぞき込む。
「織川小の五年生は毎年、海の合宿へ行ってるんだ。このあたりの地域に残ってる、伝統行事のひとつだよ」
わたしの前で、カナトくんが手慣れた様子で化石掘りチョコをハンマーでたたいている。それ専用のグッズらしい。
「おお〜、なるホド! だからミイちゃん、ずっと元気ないんだネ」
ほいっとポッキーを口に入れてくれるけど、それどころじゃないの。
キャッキャと砂浜で遊ぶだけなら、問題ない。織川小の臨海学校は、そんなに甘くないの。
班ごとに分かれて、三キロ先の沖を目指してリレーしないといけない。わたしが足を引っぱったら、班に迷惑をかけてしまう。
もぐもぐと食べながら、むくっと体を起こした。
「……どうしよう。泳げる気がしない」
十五メートル、しかもバタ足で泳ぐのがやっとなのに。
三百メートル先で待つ人へ、たどり着く未来が見えないよ。
「俺がミイの立場なら、地獄だな」
「地獄ダー!」
「ひどいよぉ。二人とも、人ごとだと思って」
半分泣き声になった。
すると、アクアちゃんが貝殻のポシェットから、ごそごそと何かを取り出して。
「アクア、手伝ってあげるヨ? 【人魚の水かき】持っテル!」
魔法アイテムを渡してくれる。
このオシャレな手袋と靴下を身につければ、人魚みたいに泳ぐことができるらしい。
すごく貸してほしいけど、わたしはそっとアクアちゃんへ返した。
秘密基地に集まって、みんなでお菓子パーティーをしているなか、わたしは黙って座っている。
二泊三日のしおりをながめながら、ため息ばかり。
「リンカイガッコウって、ナニ〜?」
ポッキーとポテトチップスを両手でつまみ、アクアちゃんがしおりをのぞき込む。
「織川小の五年生は毎年、海の合宿へ行ってるんだ。このあたりの地域に残ってる、伝統行事のひとつだよ」
わたしの前で、カナトくんが手慣れた様子で化石掘りチョコをハンマーでたたいている。それ専用のグッズらしい。
「おお〜、なるホド! だからミイちゃん、ずっと元気ないんだネ」
ほいっとポッキーを口に入れてくれるけど、それどころじゃないの。
キャッキャと砂浜で遊ぶだけなら、問題ない。織川小の臨海学校は、そんなに甘くないの。
班ごとに分かれて、三キロ先の沖を目指してリレーしないといけない。わたしが足を引っぱったら、班に迷惑をかけてしまう。
もぐもぐと食べながら、むくっと体を起こした。
「……どうしよう。泳げる気がしない」
十五メートル、しかもバタ足で泳ぐのがやっとなのに。
三百メートル先で待つ人へ、たどり着く未来が見えないよ。
「俺がミイの立場なら、地獄だな」
「地獄ダー!」
「ひどいよぉ。二人とも、人ごとだと思って」
半分泣き声になった。
すると、アクアちゃんが貝殻のポシェットから、ごそごそと何かを取り出して。
「アクア、手伝ってあげるヨ? 【人魚の水かき】持っテル!」
魔法アイテムを渡してくれる。
このオシャレな手袋と靴下を身につければ、人魚みたいに泳ぐことができるらしい。
すごく貸してほしいけど、わたしはそっとアクアちゃんへ返した。