魔法のマーメイドクラブ
カナトくんに続いて、アクアちゃんがテントの中へ入っていく。
なぜかわたしは、一度足を止めてふり返った。誰かに、見られているような気がして。
「あっ」
少し離れたところに、ランドセルを背負った女の子が二人立っている。一人は、同じ三組のマナちゃん。もう一人は……。
「りっちゃん?」
ポロッと名前を出したら、二人はなにも言わずに走って行った。
どうして、あの二人がここにいたの?
通学路からはそれているし、もうとっくに帰っていたはず。
なんだかイヤな感じがして、モヤモヤが消えない。
テントの中に体をすべり込ませると、アクアちゃんとカナトくんが無言で小物を拾い集めていた。
かざっていた貝殻と石は、落ちて割れている。わたしの絵も、くしゃくしゃに転がっていた。
「ダイジョウブ。また、作ったらイイヨ」
口ではそうつぶやいているけど、アクアちゃんは笑っていない。
この貝殻は、お母さんからのプレゼントだと聞いていた。アクアちゃんが、とても大切にしているものだって。
カナトくんは、一年生のときから石掘りへ行っていて、成長の証みたいなものだと楽しそうに話してくれた。
マーメイド・マリンの絵も、お守りだった。わたしが褒めてもらえた、初めての物だったのに……。
ひどいよ。一瞬で、みんなの宝物と居場所を奪っちゃうなんて。
自分たちの物は家へ持ち帰って、破れたテントは、雨がしみ込むから捨てることになったの。
なにもなくなった草っ原は、なにか物足りない感じがした。
なぜかわたしは、一度足を止めてふり返った。誰かに、見られているような気がして。
「あっ」
少し離れたところに、ランドセルを背負った女の子が二人立っている。一人は、同じ三組のマナちゃん。もう一人は……。
「りっちゃん?」
ポロッと名前を出したら、二人はなにも言わずに走って行った。
どうして、あの二人がここにいたの?
通学路からはそれているし、もうとっくに帰っていたはず。
なんだかイヤな感じがして、モヤモヤが消えない。
テントの中に体をすべり込ませると、アクアちゃんとカナトくんが無言で小物を拾い集めていた。
かざっていた貝殻と石は、落ちて割れている。わたしの絵も、くしゃくしゃに転がっていた。
「ダイジョウブ。また、作ったらイイヨ」
口ではそうつぶやいているけど、アクアちゃんは笑っていない。
この貝殻は、お母さんからのプレゼントだと聞いていた。アクアちゃんが、とても大切にしているものだって。
カナトくんは、一年生のときから石掘りへ行っていて、成長の証みたいなものだと楽しそうに話してくれた。
マーメイド・マリンの絵も、お守りだった。わたしが褒めてもらえた、初めての物だったのに……。
ひどいよ。一瞬で、みんなの宝物と居場所を奪っちゃうなんて。
自分たちの物は家へ持ち帰って、破れたテントは、雨がしみ込むから捨てることになったの。
なにもなくなった草っ原は、なにか物足りない感じがした。