魔法のマーメイドクラブ
「あ、あともうひとつアッタ! 運命の人が見つかりますヨーニ!」

 お菓子の願いのとなりに、小さな字でつけたすアクアちゃん。
 まただ。胸の奥がギュッとしめつけられて、苦しい。応援したいはずなのに、心の底からできない自分がイヤになる。

「アクアって、その運命の人が見つかったら、自分の国へ帰るの?」
「ウーン、たぶん! ぜったい、かもしれナイ!」
「なんだそれ」

 笑い合う二人は、ほのぼのしていいなって思った。
 ずっと、みんなと一緒にいたいよ。この時間が、仲間が大好きだもん。

「……わたし、もっと、チームアクアでいたい! から、運命の人は、もうちょっと待ってもらえたらいいなって……思う」

 言ったあとから恥ずかしくなって、顔があげられなくなる。
 嘘じゃない。カナトくんと両思いになってほしくないのもあるけど、チームアクアとお別れはもっとさみしい。

「うん、俺も。ミイと同じ気持ち」

 ハハッと笑いかけられて、嬉しくなった。
 大切だと思っているのは、わたしだけじゃない。あらためて実感できたから。
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