魔法のマーメイドクラブ
終業式まで、あと一週間。その一週間後に、臨海学校が迫っている。
移動授業の用意をしていると、廊下側から笑い声が聞こえてきた。
「昨日【僕夢《ぼくゆめ》】見た? 九時から映画やってたよね」
「見た見た! 配信待ってられないから、リアタイしちゃった」
「えー、マナちゃん、いいな! 私まだ見てないんだ。聞いてよ! その時間お兄ちゃんがさぁ……」
まだ自分の席にいるりっちゃんを通り過ぎて、楽しそうな笑い声が小さくなっていく。
少し前まで、りっちゃんが一緒に行動していた女子のグループ。今は三人でかたまって、りっちゃんは一人でいる。
どうしよう。声、かけた方がいいかな。
「ミイちゃーん♪ オンガク室、行こ〜!」
トイレから戻って来たアクアちゃんが、トトトとかけ足でわたしに飛びついてきた。コアラみたいにしがみつかれて、前が見えない。
「う、うん。えっと……」
ガタンと強めの音を立てて、りっちゃんが立ち上がる。
ツンとした顔で教科書とリコーダーを持つと、教室を出て行ってしまった。
「ビックリした! リムちゃん、なんか怒ってたのカナ?」
「うん、そうだね」
昨日も何度か話しかけようとしたけど、オーラがすごくて近づけない。
女子は仲良しグループができているから、どこかへ入るという雰囲気ではないし。みんな、関わりたくないのか、どこか避けている。
ずっと一人でいたわたしが、心配することじゃないのかもしれないけど。だからこそ、気持ちがわかるから気になっちゃう。
「ミイ、アクア」
誰もいなくなった教室で、カナトくんがこそっと耳打ちする。いきなりは、反則だよ。心臓がはじけ飛んじゃう。
移動授業の用意をしていると、廊下側から笑い声が聞こえてきた。
「昨日【僕夢《ぼくゆめ》】見た? 九時から映画やってたよね」
「見た見た! 配信待ってられないから、リアタイしちゃった」
「えー、マナちゃん、いいな! 私まだ見てないんだ。聞いてよ! その時間お兄ちゃんがさぁ……」
まだ自分の席にいるりっちゃんを通り過ぎて、楽しそうな笑い声が小さくなっていく。
少し前まで、りっちゃんが一緒に行動していた女子のグループ。今は三人でかたまって、りっちゃんは一人でいる。
どうしよう。声、かけた方がいいかな。
「ミイちゃーん♪ オンガク室、行こ〜!」
トイレから戻って来たアクアちゃんが、トトトとかけ足でわたしに飛びついてきた。コアラみたいにしがみつかれて、前が見えない。
「う、うん。えっと……」
ガタンと強めの音を立てて、りっちゃんが立ち上がる。
ツンとした顔で教科書とリコーダーを持つと、教室を出て行ってしまった。
「ビックリした! リムちゃん、なんか怒ってたのカナ?」
「うん、そうだね」
昨日も何度か話しかけようとしたけど、オーラがすごくて近づけない。
女子は仲良しグループができているから、どこかへ入るという雰囲気ではないし。みんな、関わりたくないのか、どこか避けている。
ずっと一人でいたわたしが、心配することじゃないのかもしれないけど。だからこそ、気持ちがわかるから気になっちゃう。
「ミイ、アクア」
誰もいなくなった教室で、カナトくんがこそっと耳打ちする。いきなりは、反則だよ。心臓がはじけ飛んじゃう。