魔法のマーメイドクラブ
「今日、放課後集まれる?」
「おっ! 極秘魔法クラブ?」
「うん」
「わたしは行けるよ。でも、波木さん大丈夫かな?」

 今は波木さんの家を借りているから、秘密基地のようには気軽に遊べない。
 お留守のときは、使えないっていう約束があるの。

「だいじょうブ♪ 今日、おばさんいるヨ!」
「試したいことがあって」
「ナニナニ〜?」

 試したいこと? なんだか胸がざわざわする。

「もしかしたら、秘密基地を壊した犯人が分かるかもしれない」


 学校が終わってから、波木さんの家へ集合した。二階の一番奥、アクアちゃんの部屋で持ってきた物を並べて行く。この前、壊れてしまった宝物たち。
 カナトくんに言われた通り持ってきたけど、どうするつもりだろう?

「物は記憶を持つって言うだろ。この貝や絵の記憶を見れないかと思って」
「ムリ!」
「なんだ、瞬殺かよ」
「そんな魔法アイテムないヨ〜」

 反応したくても、二人のかけ合いに入れない。ポンポンと言葉が出てくるって、うらやましい。

「まあ、今のはただの確認だけど。本題は、こっち」

 コトンとテーブルに置かれたのは、ひとつのSDカード。
 ゲーム用ではなさそうだし、なにかデータが入っているのかな。

「ん〜? コレは、チョコレート?」
「おしい。防犯カメラの映像だよ」
「えっ、防犯カメラ? どうして、そんなものを」

 驚きすぎて、二人がボケていたかもしれないのに、スルーしてしまった。
 だって、ミステリーや刑事ドラマでしか見たことがない物が、目の前にあるんだもん。
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