魔法のマーメイドクラブ
「憧れるよな。だって、そうゆう世界かっこいいし」

 ザバーンッと、カナトくんがプールへ飛び込む。キラキラした水が、髪や顔から流れていく。
 おいでと手招きされて、ドキンと胸が高鳴る。

「うん、すごく、カッコいい!」

 ちょこんと足先を水へ入れた。冷たくて、ドキドキする。
 手を引いてもらって、ドボンとプールの中へ沈んだ。
 繋がれた手が離れて、ちょっぴり残念な気分になるけど。

「誰にも言ってないから、内緒な。特に、クラスの人には」

 ニッと白い歯が見えて、ほんのりと頬が赤くなる。
 やっぱり、カナトくんには敵わない。
 不安や恥ずかしいって気持ちが、いつの間にか吹き飛んでいるの。

 二時間ほど練習して、【水たまり石】をリュックへしまう。
 今まで頑張ってきたことが、願いごとのひとつが、明日で決まってしまうんだ。

 どうしてだろう。不安もあるし、まだまだ力は足りないけど、明日はうまく泳げる気がする。
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