魔法のマーメイドクラブ
***
「ミ〜ナミちゃん。いっしょに帰ろ」
ランドセルを背負ったら、りっちゃんこと里夢ちゃんが、わたしの机の前にやってきた。
やだな。その三文字をのどの奥へ引っ込めて、いいよと返事する。
りっちゃんとは、家の方向が同じでよく一緒に帰っていた。三年生くらいまでは仲がよかったけど、今はたまにしか話さない。
学校の門を出て、坂道を下っていく。小さいころ取って食べていた赤い実や、よく寄り道した本の館を通りすぎて、りっちゃんが一歩前へ出た。
「海屋敷アクアちゃんって、なんか変な名前だよね」
あきらかに不機嫌そうな顔だ。ツンとしている目じりが、さらに上がっている。
「そう……かな?」
「髪の毛だって、ぜったい染めてると思う! 目もあんなくっきり二重おかしいし、整形してるよ」
「先生、ハーフって言ってたよね」
どこの国かは教えてもらっていないけど、アクアちゃんは遠い国から来たらしい。
日本語は話せるけど、たまに分からない単語もあるって。
「運命の人探してるとか、バッカみたい。あんな恥ずかしいこと、普通言えないよ。変だよ。美波ちゃんも、アクアちゃんみたいな子、あんま好きじゃないよね?」
強めの口調に、わたしは言葉につまる。
りっちゃんは、たぶん同意してほしいんだ。
わたしは、そんなこと思ってない。アクアちゃんと仲良くなりたい。
「まだ、話したことない……から」
返事をにごしたら、りっちゃんはつまらないという感じでくちびるをとがらせて。
「美波ちゃんって、すぐいい子ぶるよね」
こっちも見ずに、橋の方へプイッと先に行ってしまった。
「ミ〜ナミちゃん。いっしょに帰ろ」
ランドセルを背負ったら、りっちゃんこと里夢ちゃんが、わたしの机の前にやってきた。
やだな。その三文字をのどの奥へ引っ込めて、いいよと返事する。
りっちゃんとは、家の方向が同じでよく一緒に帰っていた。三年生くらいまでは仲がよかったけど、今はたまにしか話さない。
学校の門を出て、坂道を下っていく。小さいころ取って食べていた赤い実や、よく寄り道した本の館を通りすぎて、りっちゃんが一歩前へ出た。
「海屋敷アクアちゃんって、なんか変な名前だよね」
あきらかに不機嫌そうな顔だ。ツンとしている目じりが、さらに上がっている。
「そう……かな?」
「髪の毛だって、ぜったい染めてると思う! 目もあんなくっきり二重おかしいし、整形してるよ」
「先生、ハーフって言ってたよね」
どこの国かは教えてもらっていないけど、アクアちゃんは遠い国から来たらしい。
日本語は話せるけど、たまに分からない単語もあるって。
「運命の人探してるとか、バッカみたい。あんな恥ずかしいこと、普通言えないよ。変だよ。美波ちゃんも、アクアちゃんみたいな子、あんま好きじゃないよね?」
強めの口調に、わたしは言葉につまる。
りっちゃんは、たぶん同意してほしいんだ。
わたしは、そんなこと思ってない。アクアちゃんと仲良くなりたい。
「まだ、話したことない……から」
返事をにごしたら、りっちゃんはつまらないという感じでくちびるをとがらせて。
「美波ちゃんって、すぐいい子ぶるよね」
こっちも見ずに、橋の方へプイッと先に行ってしまった。