魔法のマーメイドクラブ
 家へ帰って、すぐに部屋のドアを閉めた。ベッドの上に腰かけ、右の足首をさわる。
 パッと見ただけでは分からないけど、うろこのある部分だけデコボコする。

 人魚の呪いは、一番大切な記憶をうばわれてしまうらしい。覚えていないから、困るわけじゃないけど……。それが、昔かけられた呪いの方。

 もうひとつは、正体不明みたい。波木さんが、今まで見たことがない珍しい呪いだって。
 魔法で弱めているから、思いつめなくて大丈夫と言ってくれたけど。どうしても、気になっちゃう。

 もしも、寿命が短くなる呪いとか、好きな人に嫌われる呪いだっら……。考えるだけで、お腹が痛くなる。

 ベッドへ横になって、ため息をついた。

「カナトくん、大丈夫かな。見つかって、怒られてないかな。……今日も、あのこと言えなかったなぁ」

 いろんなことがありすぎて、疲れちゃった。
 ウトウトと、まぶたが閉じていく。
 いつの間にか、着替えないままで眠っていた。
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