魔法のマーメイドクラブ

6、海の魔法とみんなの絆

【あれから大丈夫だった? 話したいことがあるんだけど、会える日ないかな?】

 カナトくんから返事がないまま何日か経ち、夏休みの登校日になった。
 とっても体が重い。行きたくない。
 だって、送ったメッセージは、読まれてすらいないんだもん。

 もしかしたら、お父さんやお母さんに見つかって、連絡できなかったのかもしれないけど。マイナスなことばかり考えちゃうの。
 嫌われちゃったのかなとか。バチが当たったのかなって。

 学校へ着いて教室の前まで行くとすぐ、マナちゃんが近寄ってきた。

「美波ちゃん、ちょっといい?」

 声のトーンが少し低く感じて、イヤな予感がした。
 ランドセルを背負ったまま、数人の女子に囲まれる。
 あのときと似ている。りっちゃんが秘密基地を壊したと誤解されて、仲間はずれにされたとき。

「臨海学校でやった沖合競争のことだけど。あれ、美波ちゃん泳いでないってほんと?」

 一人の子が、控えめな声で聞いた。
 なにか反応するより先に、マナちゃんがハキハキとした口調でつづけて。

「あのときは、みんな興奮してたから気づかなかったけどさ。冷静になって考えたら、いろいろ変だよねって話してたんだ」
「全然泳げなかったのに、ダントツ一位ってありえないよね? 反則でもしないと」

 他のクラスメイトたちも、ヒソヒソと話し始める。「たしかに」とか「嘘だったの?」なんて声が耳に入った。
 どうしよう。謝ることを先延ばしにしていたから、こんな形で知られてしまった。

 そのとき、ガタンと立ち上がる音がして、カナトくんが割り入ってきた。

「そういうのやめなよ。決めつけて物言ったり。複数で一人を責めるの」

 ため息を吐くカナトくんに、申し訳ない気持ちが押し寄せる。
 今回のこと、嘘をついてるのは、わたしだから。
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