魔法のマーメイドクラブ
 夏休み中のプール開放最終日。五年三組で貸し切って、水泳競争をすることになった。
 ここ数年は、ほとんど利用生徒がいなかったらしくて、先生から許可が出たの。

 鉄板みたいなプールサイドを歩いて、ラッシュガードを着たりっちゃんが陰に座る。少し離れたところで、マナちゃんたちがヒソヒソと話している。
 関係ない話かもしれないけど、見ていてあまり気分がいいものじゃない。

「みーんなーッ♪ 集まっテル〜?」

 タタタタッとかけてきて、アクアちゃんがわたしに飛びついた。
 おっとっと、とバランスを崩しそうになるけど、なんとか持ちこたえる。

「ミイちゃん! 今日は、楽しもうネ!」
「うん」

 笑いながら、斜め前へ視線を送る。
 カナトくんがチームアクアを抜けること、アクアちゃんも知ってるのかな。
 どんな顔をして話したらいいのか、わからないよ。

「アッ、アアーー! アレ、なんダァ⁉︎」

 スピーカーのような大きな声に、みんながいっせいに空を見た。アクアちゃんが、指差す方向を。
 な、なに? 何事かと思ったら、アクアちゃんがウインクして、小さく呪文をとなえる。

 すると、指からキラキラとした光が現れて、またたく間にプールを海へと変えた。
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