魔法のマーメイドクラブ
「キャーッ! なにこれ?」
「どうなってんだ? 海⁉︎」

 水しぶきを上げて、ザバーンとジャンプするイルカ。青い水の中で、キレイな魚たちが泳いでいる。
 すごい……! ほんの一瞬の出来事だった。

「アクア、みんなと仲良くなりタイ。楽しい思い出作ってホシイ。ミイちゃんの、笑ってる顔が好きナンダヨ」
「……アクアちゃん」

 みんながプールの中をのぞいているうちに、ポンポンと浮き輪やバナナボートを出している。

「みんな! 今日はいっぱい遊ぼう〜♪ ヒャッホ〜!」

 高くジャンプして、アクアちゃんが思いっきり飛び込む。
 不安げにしていたクラスメイトたちが、少しずつ海のプールへ入っていく。
 そういえば、アクアちゃん尾びれは……⁉︎
 あわててプールサイドへかけ寄る。ザバーンと跳ね上がる空に、太陽の光で輝く七色のうろこが見えた。

「うわ……すげぇ」
「かわいいーー! アクアちゃんって、人魚なの?」

 海のプールをスイスイ泳ぐアクアちゃんは、みんなの注目の的。
 知られたらいけない秘密を、自分から……どうして。

 みんなが水の中へ入る中、わたしとカナトくんは、プールサイドでその光景を黙って眺めていた。

「これが、アクアの望んだ結果なんだな」
「どうゆうこと?」

 カナトくんのひとり言に、思わず反応してしう。
「いや、俺のただの勝手解釈(かってかいしゃく)。それと、いきなりごめん。チームアクアのこと」
「ううん、わたしの方こそ、ごめんなさい。あのとき、アクアちゃんが助けてくれたの。自分で……泳いでないの」
「そっか」

 ーー俺、魔法使いになりたかったんだ。

 目を輝かせて、夢を話してくれたカナトくんが、自分から魔法クラブをやめる選択をするなんて。
 あれほど協力してもらったのに、わたしが、嘘をついたから……イヤになっちゃったのかな。
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