魔法のマーメイドクラブ
「早く言わなきゃって、思ってたけど……なかなか言い出せなくて。みんなに、嫌われちゃうかもって、怖かった」

 幻滅されても仕方ないけど、チームアクアのことは嫌いにならないでほしい。

 コロコロと、どこからか貝殻が転がってきた。真っ白でキレイ。アクアちゃんが好きそうな色と形をしている。
 そっと拾うと、じっと眺めながら、カナトくんが口を開く。

「完璧な人なんていない。失敗したら、また次頑張ればいい。何度でも、挑戦したらいい」

 白い砂浜に変わっていくプールサイドで、太陽がまぶしく光る。
 ふと目が合って、ドキッとした。まっすぐで力強い。だけど、どこか寂しそう。

「ミイが泳いでないことより、隠してたことの方がショックだった。真っ先に、相談しろよな。俺たち、チームアクアだろ」

 少し照れくさそうにして、カナトくんが白い歯を見せた。
 初めから、ちゃんと話していればよかったんだ。

「……わたしたち、ずっと、チームアクアだよね? 離れちゃっても、仲間でいてくれる?」
「もちろん。あ、チームアクアやめるってことだけど。あれ、親から交換条件出されて」

 話している最中に、思いきり体が前へ倒れた。背中を誰かに押されたの。
 犯人は、りっちゃん⁉︎

「二人とも、学校でイチャイチャしてんじゃないっつーの! せっかくだから、参加するよ」
「えっ、ちょっ、わわわーー!」

 カナトくんと一緒に、ジャポンとプールの中へ落ちた。つづけて、りっちゃんも飛び込んでくる。
 アップアップと水面に顔を出すと、りっちゃんはスイスイと泳いでいった。

 びっくりした……!
 あらためて、まわりを見渡してみる。イルカと並んで泳いだり、大きなウミガメに乗って感動したり。

「こんな夏休み、初めて!」
「ずっとここにいたいなぁ〜。帰りたくねぇ〜!」

 みんなすごく楽しそうで、今までピリピリした空気だったことが嘘みたい。
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