魔法のマーメイドクラブ
 貝殻ポーチから、縮小シャボンを探し出そうとした。そのとき、クジラの横にいたアクアちゃんが、バシャンと倒れた。
 人間の姿に戻って、海のプールへ沈んでいく。

「アクアちゃん!」

 ぐらりと足がゆれる。クジラの鳴き声で地響きがおきて、手にした縮小シャボンが水の中へ落ちた。

「あっーー!」

 カナトくんがわたしの名前を呼んだときには、飛び込んでいた。
 夢中で下へともぐっていく。不思議と、それほど怖くない。
 縮小シャボンをキャッチして、反対でアクアちゃんの手をつかむ。やった! どっちも止められた。

「ゴホッ」

 息が苦しくなってきた。このままじゃ、わたしまで溺れちゃう。
 どうかお願いします。祈りながら上へ向かうと、足首のうろこが紫に光り出す。

 これって、呪いの……?
 するとなぜか体が軽くなって、一気に水面へと浮かび上がった。
 助かった……! アクアちゃんも、ケホケホと息をしている。大丈夫。

 そうだ。早く、このシャボンでクジラをーー。
 ふと見上げたとたん、目の前でりっちゃんを含めた三人が、パクリとクジラに飲み込まれた。

「りっちゃん!」

 と思ったけど、間一髪でカナトくんがデッキブラシを噛ませていた。拡大シャボンで、柱のようにして。

「これもすぐに壊される! 早く、口の中から出さないと!」

 ーーどうにかして、みんなを引き寄せられたら。

 心の中で願ったらまた地響きがして、三人がいきおいよく吐き出された。プールサイドの砂浜へ飛ばされて。
 その直後、バキッと音を立て、デッキブラシは真っ二つに折れた。
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