もう一人の私に出会った夏
「はいはい。」

父が茶の間に行くのを見た千歳は、純太がいないことに気付く。

「純太は?」

「純太?まだ家に入ってないのか。」

「さっき、庭で声がしたよね。」

父も幸太ものん気だ。


「もう、心配じゃないの?」

できたハンバーグを持ってきた千歳は、テーブルの上に皿を置くと、縁側から純太を呼んだ。

「純太!」

「あ、お姉ちゃん!」

純太は、トイレの中から出てきた。

だが縁側に立った純太は、庭の方をジーッと見ていた。


「ん?誰かいるの?」

「うん、お友達。でももういない。帰っちゃったから。」

「そう。お友達って……どこに住んでる子?」

「あそこ。」

純太は向かいにある山を指した。

「あんな遠くから?」

「うん。遊びに来たんだって。それにね、お姉ちゃんにそっくりなんだ、その子。」

「私に?」

「年も同じくらいだったよ。」

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