魔女とハイエナ令嬢/暗黒ギャング抗争ファンタジー ※掲載休止予定(アカウントが変?)
(↓以下、重度・核心のネタバレあり)









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〇サリー(サラ)
サコンの元婚約者(年上)で、物語のヒロイン(主人公)のミチア(ミーシャ)の母。
生まれは親魔族の利権・利得のシンジケート・マフィアに関わる商業貴族の娘。当主の(生まれや重要度の低い)愛人の子供だったこともあり、最初から一種の「供物や生贄」に使われる予定で、サリーという名前も「サクリファイス」(犠牲者)からとられている。そのため本人は「サリー」よりも愛称として「サラ」と呼ばれるのを好んだ。
あえて年端もいかない少年のサコンとの「婚約」したのは周囲へのごまかしの茶番劇と、サリー本人の「幸せな結婚」というはかない希望を慰める「玩具やお遊戯」を与えるせめてもの親心だった。
しかしサリーは自分の呪われた運命を受け入れるのを拒否して、属する商業貴族の家門や親魔族マフィア・シンジケートへの反逆を敢行。最初は故意に自分自身の供物・生贄としての価値を下げに、反抗心からわざと処女を捨てたらしい。それからついに妊娠すると後戻りもできず(父親がサコンであるかは不明?)、本気で覚悟を決めて逃亡や暗殺などの策略・手段を駆使し、クーデターのようなやり方で分家のボスとなって(マフィア同士での)抗争を繰り広げた。
その過程で、当時に伯爵(中級魔王)だった現侯爵レオ・クルスニコの直接配下に上り詰め、アレクセイとルチア(混血の魔族の子供)の母にもなった(彼女にとっては後継者の確保や愛情欲・見栄だけでなく、立場を強化したり身を守る目的だったらしい)。
それでも最終的には人間のマフィアや腐敗権力者同士での争いに敗北し、(本人だけでなく他の者たちの分まで)罪や責任を押し付けられる生贄として(表向きに首謀者が裁かれた政治パフォーマンスのため)処刑された。裏事情として他の魔王配下グループとの勢力争いがあってそのために庇護も絶対的な効力を持たず、また魔族(侯爵)の情緒や人間への感情が独特であることで「計算違い」してもいた。
この物語では、裏に潜んだ親魔族マフィアや腐敗権力者たちなどの「暗部」が調べられ、調査や闘争が繰り広げられていく。別の魔王配下のグループとの抗争や反魔族レジスタンス・軍も絡む。

なお、死後にサリーの遺体は「(まだ若く)美しい姿をとどめる」調度品として加工され(生きているかのごとく)、愛人関係でもあった魔族侯爵から城の奥で秘蔵・展示されている。しょせん上級魔族にとって人間の女であるサリーは「愛用の素晴らしい道具」や「お気に入りの愛玩動物」でしかなく、逆にサリーは「人間の浮気や愛人関係」と同じに考えて盲目的だった(ほとんど本気で恋人として愛していた?)。
それでも魔族侯爵はアレクセイとルチアを「我が子」として養育したり、連れ子で人間のミチア(ミーシャ)を一応は面倒を見て世話するなど、彼・魔族なりの愛情はあった様子。そのため特にアレクセイは複雑な感情を抱いており、魔族の貴公子としてのプライドや人間への蔑視と、異父姉ミチアへの執着で言動がちぐはぐな面がある。


〇魔王レオ・クルスニコ侯爵
正真正銘の魔族の上級魔王でアレクセイやルチアの父親の美丈夫。親魔族ギャングなどによって人間の都市や村々を間接的に支配下に置いている。
ほぼ純血の魔族ゆえ、奴隷市場(または食肉)で購入したり「狩り」で人間を食材にした料理をとっているが、「食材(人間)に敬意を払い、家畜(人間)をむやみに虐待しない(魔族の感覚で)」「小さな子供は基本的には(育つまで)食べない・若い女や妊婦はできるだけ殺さない」など、あくまでも捕食者としてなりのマナーや倫理観もある奇特な人物。「牧場や狩り場(人間の都市や村々)を荒廃させてはいけない」との分別があるために、魔族としては人間にとってマシな部類という見方もあるようだ。
過去の伯爵時代に原人騎士クリュエル(現在はリベリオ屯田兵村の首領)と交戦・死闘したらしい。

過去に人間の愛妾で配下でもあったサリー(サラ)を、他の魔王たちとの勢力争いと各種の紛争が重なって(娘のサビーナの意向も原因)、諦めた事情がある。その際の条件が「自分のものであるから、処刑後の遺体をコレクションに加えるので、汚さず壊さずに引き渡すこと」で、魔族なりに愛していたことが窺える。


〇キラン・レイレイ
獣エルフのハイエナ娘。ボーイッシュで高い運動能力・戦闘格闘力、見た目は活発な美少年と見まがうし、氏族(ハイエナ)の特性・属性で疑陰茎まであって同性愛(レズ)の傾向もあり(しばしば男性を見下した言動をとるのは、出身氏族の風習が女性優位であるため?)。
母親はハイエナ氏族の小集団のボスで、「人間の魔女」サリー(サラ)の友人・妹分だった。ハイエナ氏族は家系が女系継承で、身内同士での社会性・連帯感と序列意識が強いため、サリーの子供であるミチア(ミーシャ)とアレクセイ・ルチア兄妹には仲間意識や執着があるらしい。
アレクセイ(サリーの息子の魔族貴公子の少年)はキランを同年代の少年だと思っており、キラン自身もそれをわざと訂正せず勘違いさせたままにしており、事情を知っているミチアやルチア(姉・妹)と「あいつってさ~」とからかったりノロケ話の肴にして面白がっているらしい。


〇春日てこな(テナ)
また春日稲荷神社の狐エルフの巫女。古代ジパングで歴代の大臣を輩出したフジャラ家の末裔でもある。あ犬連盟とは仲が良く、お祭りなどで合同行動することが多い。
魔術協会側の「自称フジャラ氏」の魔術者が親魔族ギャングに加担して暗躍している情報などから、調査のために潜入してきた。
付き人・ボディガード(彼氏?)のウシオは「力士」(本来は神社や公共の場の警備兵)で、デブと見せかけた筋肉ダルマ・隠れマッチョの猛者。


〇魔女サビーナ・クルスニカ伯爵夫人
魔族侯爵の長女で、真の「魔女王」。位階は伯爵夫人(女伯爵)で見た目はうら若い美女。父侯爵が人間の女(サリー)を寵遇していたのをあまり快く思っておらず、処分された事件にも関与。
サリーの子供のアレクセイには「雑種だがお父様に似ている」と憎からず思っているようだが、彼女は純血の魔族なので「人間と同じ」ではない。アレクセイからは畏怖・尊敬・愛慕と憎悪の両面の感情を持たれて警戒されている(アレクセイはサリーの死にサビーナが関わったと薄々に勘づいているが人間の母を持つことにコンプレックスもあり、しばしば「母を含む人間ども」への侮蔑を口にする)。ルチアとの関係は悪く、彼女からは「怖い」「嫌い」「あの鬼ババア」などと言って怯えられ、サビーナはサビーナで「あの劣等な牝犬の排泄物か、見苦しい!」とまで吐き捨てている。


〇ヤギョ・パーン(クルスニカ)
魔族侯爵レオ・クルスニコの息子で形式上では魔族位階の子爵(準伯爵)、小クルスニコとも呼ばれる。「森番」を自称して、他の魔王たちにもそれを承認されている。
母は獣エルフ(ヤギー氏族)の菜(さい)・ヤギー氏の出身。混血ハーフ魔族ではあるものの、通常はエルフ・ドワーフと生活や行動していることが多い(ダークエルフ狩人戦士の高砂部族やヤギー氏族などの獣エルフ)。ヤギー流剣術の使い手で「親父(魔族侯爵)にすら勝てるかどうか怪しい弱者」(世間の一般的基準からすれば破格の怪物、単純な戦闘力では姉の伯爵夫人サビーナより強い?)。ファルコン・チャン(レッサーパンダ、レサパン商会)とは友人・商取引相手でライバル関係でもある。
また「草食系の獣エルフ」(ヤギ)のハーフであるため人肉食にたいしてメリットや必要性がなく、二本の角がある魔的な外貌とは裏腹に人間への攻撃性は低いようで、縄張りの森林地帯(母方氏族や他の仲間のエルフたちの居住地)を守る以外では人間との紛争は少ない。竹からの製紙や木工製品・栽培した薬草類などを財源・外貨獲得に商品にしており、商取引もしている。
そのためクリュエルやサキなど(リベリオ屯田兵村)や人間からはエルフ・ドワーフ族のボスの一人・中立ユニットや友好関係と見做されることが多く、むしろ他の凶暴性の高い魔族や配下の盗賊グループを警戒している。魔族のニョルハチ公爵・トンヘイ侯爵などとは敵対しているらしい。
また過去にサキ(サキュバス、混血魔族)のグループの逃亡を助けたことがある。異母弟のアレクセイからは一方的にライバル視(打倒目標?)されているが、その妹のルチアを含めて仲は悪くない。


〇大魔王(エルフ公)トランポ・リーン
本人は雪エルフと人間の混血の末裔で魔族ではないのだが、寵愛した第一夫人が魔族ハーフの森林エルフ美女(割合に害のない吸血姫。サキなどと同様に魔族の支配下領域から脱出してきた)だったことと実力によって「大魔王と同格と見做されている」(魔族からの評価や揶揄)。
当然ながら人間やエルフ・ドワーフとの関係はおおむね良好で、直接・間接の支配下・庇護下の領地・地域との通商で関税・通行税をとって財源にしたりしているが(一種の検問所と売店で現地の治安協力や旅人の安否確認に近く、お金の徴収は大量の荷物や富裕者が主な対象)、用心棒契約や治安協力したりジェス教会(エルフなどの運営する宗教団体)などを通じて福祉援助として還元されるため、ギブアンドテイク関係になっている。
魔族・魔王やギャング・盗賊の横暴と跳梁跋扈に激怒しており、「呪い散布テロ」や自身への陥れ工作、友人のドワーフ公アベールが暗殺(下手人は鮮魚人だったそうだが)されたことなどから、ついに大魔王ラスプトンなどと対立激化。ジェス教会の傘下の武闘派「ヨシュア会」や妻方のエルフ氏族つながりの(反魔族)連合勢力を援助している。


〇魔術罠師トラ
どうも本名は「稲城(いなぎ)オト吉」らしい。オト(於菟)は「虎」の古い言い方(猫を指すこともある?)。ただし「乙」だったり、兼ねて特定の漢字を決めていない説もあるらしい(本人は少年時代には「オト吉」や「オトキチ」と書き、またはアルファベットで音写していたらしい)。レトの犬鳴(いなき)という苗字は「稲城」からの当て字である可能性が高く、犬鳴姉弟との出会いは運命や宿縁か?
現在は反魔族レジスタンス「リベリオ屯田兵村」の幹部の青年。レト(犬鳴レトリバリクス)の義兄(兄貴分の親友で、姉ルパの婚約者?)。トラバサミの罠を模した(転用した?)鉄仮面と、倒した魔族男爵から奪ったフランベルク剣(炎やノコギリのようなギザギザの刃)を愛用しており、右腕は「若枝の義手」。魔術による身体強化での格闘戦に秀で、設置トラップ型の魔術を駆使して戦術的な戦い方や防御陣地の強化構築を得意とする。
また、地誌学・先史時代の研究や古典・古文書に強い関心を持っており(リベリオ屯田兵村では魔術印刷・筆写の製本ギルドにも所属している)、レトにとっては家庭教師や個人教授担当でもある。


〇獄長ロイ・ロドリゲス
近郊の荒野にあるハイエナ刑務所の所長。
もはやギャングや凶悪犯には常識的な処罰やただの死刑では脅しとしてすら不十分であるため、「死ぬより辛い絶望の収監生活」を与えるべく、職務に精励している。峻厳で冷酷だが、真面目で義侠心がある一面があり、一般民衆や警察・保安組織や防衛軍などからは信頼されている。
ジェス教会から「特務教戒師」としての認定を受けており、モハメド宗のイスラン法官からも共感や絶賛される英雄。ハイエナ娘のキラン・レイレイにとっては実は父方の伯父である。
昨今のギャングの凶悪化(新規参入も多数)で民衆が苦しむこと、町や村の平和が失われてきていることに心を痛めており、犯罪者の超法規的な大量殺戮を視野に入れている。

過去にサリー(サラ)が処刑されたときは(それまでに犯した罪の度合いや性質・振る舞いが慈悲に値するとして)、他のギャングからの凄惨な陵辱リンチを免れさせるために収監していた。敵対ギャングからの身柄の引き渡し(恫喝の嵐)を拒否して特別独房で保護して判決まで守り切り、娘のミチア(ミーシャ)も一時は匿って逃がした。サリー本人からは「紳士」と評され、ミチアは「母はなんだか楽しんでいるかのようだった」。
最終的にサリーは数件の殺人罪(ギャング抗争での暗殺など)で刑事告発・裁判され、一部で麻薬の密売していたこともあって死刑判決。ロイは「死刑に相当するが法外なリンチや過度の苦しみや辱めるまでではない」「同じ死刑であっても等級や罪の重さで正しく差別するべき」として(他のもっと酷いギャングが野放しになっていることに暗黙の批判して)、苦痛の少ない麻薬を使った薬殺処刑で許されるように計らったり、遺体を「遺族の子供に引き渡すべき」と丁重に扱ってクルスニコ侯爵から「賢明で分別がある」と感激されたらしい(峻厳・冷酷であるなりの優しさがある人物ではある)。
そんな経緯があるため、サラの娘のミチア(ミーシャ)からは(友人・仲間のハイエナ娘キランの伯父であることもあって)「獄長の小父様」と少なからず敬われている。
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