魔女とハイエナ令嬢/暗黒ギャング抗争ファンタジー ※掲載休止予定(アカウントが変?)
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やがて荒野を行く荷車馬車の前に、予期された盗賊らしき輩が立ち塞がった。四人の武器を持った男たちが岩陰から飛び出してきて、行く手を遮って「ギョッキョ!」と雄叫びを上げる。
いわゆる「鮮魚人」だった。エラがあって角張ったあごと細いつり目が特徴的な「深淵(アビス)エルフ」の一派で、魔族寄りとされている。
「待ってくれ。知っている奴だ」
サコンとネロスミスが武器に手を伸ばして戦う気配を見せるのを、セリムが片手を少し上げて制した。
「ギョ! ギョギョ」
「「通りたければ通行料を寄越せ」だとさ」
ネロスミスが横からサコンにヒソッと通訳してくれる。鮮魚人に特有の、声の調子で特殊な信号のように意思を伝える話法らしい。
セリムはニヤッと言った。
「残念だったな。積み荷はさっき降ろして帰るところだ。分け前はないぞ」
「ギョ~」
鮮魚人の男たちは、口惜しそうだった。
そしてセリムが二人に説明してくれる。
「この辺りの農夫やってるグループの奴だ。うちのエニチェリ商会にも、唐辛子と漬物を納品している。縄張り意識と乞食根性から、こうやって強盗まがいの通行料徴収したり道案内や護衛の押し売りみたいなことしたり、ボーナの市場で商店出したり、音楽と踊り子のバーなんかやったり、アパ団とかに娘を出向で奉公に出したりもしている」
「ギョ~」
鮮魚人、不満そうな顔をする。ネロスミスがヒソッと呟き教えた。「乞食扱いはねえだろ」と気分を害して抗議しているらしい。
「たまに運送の手伝いとかも頼んでいるし、得意なのは陶器も焼いている。村にも窯があるんだよ。だからこんな見た目よりは富んでいる」
「そうなのか?」
「ギョギョギョ」
ネロスミス曰く「見た目よりはとは何事か!」なのだそうだ。変に見栄やプライドが高いらしい。
ただ、セリムが言うには、この目の前の彼らについては比較的にベターな連中なのだという。
「鮮魚人もグループ同士で色々あって、けっこう派閥争いが激しいらしい。こいつらはまだいい部類なんだけれど、いや、こいつらも面倒だったり厄介だったりはするんだけどさ。度合いの問題。
ククルカン教会とかの所属で狂ったガチでカルトギャングの奴もいるから、そういうのは要注意なんだけどな。あいつらは顔とかにまで刺青してるから、一目でヤバいってわかる。ダゴンギャングとかもあるしな」
「ギョ、ギョ!」
鮮魚人の農夫(強盗も兼業?)、今度は袋から陶器の入れ物を取り出す。
「ギョッギョ! ギョギョギョ!」
「「漬物を買っていけ」ってさ」
ネロスミスの翻訳に、セリムが追加で裏の説明してくれた。
「言っておくが衛生面が問題あるから、食うんだったら加熱して調味料と具材にすることだな」
「ギョっ、ギョギョ!」
急に商売人モードになって、自信満々でガッツポーズしたり肩をそびやかす鮮魚人たち。
「「栄養満点で精力絶倫」だってさ」
「こいつらは、あいにく過剰摂取で短気と衝動が強まっている説がある。まんざら嘘でもねえ」
セリムは「しょうがねえなー」の顔をして肩をすくめた。
やがて荒野を行く荷車馬車の前に、予期された盗賊らしき輩が立ち塞がった。四人の武器を持った男たちが岩陰から飛び出してきて、行く手を遮って「ギョッキョ!」と雄叫びを上げる。
いわゆる「鮮魚人」だった。エラがあって角張ったあごと細いつり目が特徴的な「深淵(アビス)エルフ」の一派で、魔族寄りとされている。
「待ってくれ。知っている奴だ」
サコンとネロスミスが武器に手を伸ばして戦う気配を見せるのを、セリムが片手を少し上げて制した。
「ギョ! ギョギョ」
「「通りたければ通行料を寄越せ」だとさ」
ネロスミスが横からサコンにヒソッと通訳してくれる。鮮魚人に特有の、声の調子で特殊な信号のように意思を伝える話法らしい。
セリムはニヤッと言った。
「残念だったな。積み荷はさっき降ろして帰るところだ。分け前はないぞ」
「ギョ~」
鮮魚人の男たちは、口惜しそうだった。
そしてセリムが二人に説明してくれる。
「この辺りの農夫やってるグループの奴だ。うちのエニチェリ商会にも、唐辛子と漬物を納品している。縄張り意識と乞食根性から、こうやって強盗まがいの通行料徴収したり道案内や護衛の押し売りみたいなことしたり、ボーナの市場で商店出したり、音楽と踊り子のバーなんかやったり、アパ団とかに娘を出向で奉公に出したりもしている」
「ギョ~」
鮮魚人、不満そうな顔をする。ネロスミスがヒソッと呟き教えた。「乞食扱いはねえだろ」と気分を害して抗議しているらしい。
「たまに運送の手伝いとかも頼んでいるし、得意なのは陶器も焼いている。村にも窯があるんだよ。だからこんな見た目よりは富んでいる」
「そうなのか?」
「ギョギョギョ」
ネロスミス曰く「見た目よりはとは何事か!」なのだそうだ。変に見栄やプライドが高いらしい。
ただ、セリムが言うには、この目の前の彼らについては比較的にベターな連中なのだという。
「鮮魚人もグループ同士で色々あって、けっこう派閥争いが激しいらしい。こいつらはまだいい部類なんだけれど、いや、こいつらも面倒だったり厄介だったりはするんだけどさ。度合いの問題。
ククルカン教会とかの所属で狂ったガチでカルトギャングの奴もいるから、そういうのは要注意なんだけどな。あいつらは顔とかにまで刺青してるから、一目でヤバいってわかる。ダゴンギャングとかもあるしな」
「ギョ、ギョ!」
鮮魚人の農夫(強盗も兼業?)、今度は袋から陶器の入れ物を取り出す。
「ギョッギョ! ギョギョギョ!」
「「漬物を買っていけ」ってさ」
ネロスミスの翻訳に、セリムが追加で裏の説明してくれた。
「言っておくが衛生面が問題あるから、食うんだったら加熱して調味料と具材にすることだな」
「ギョっ、ギョギョ!」
急に商売人モードになって、自信満々でガッツポーズしたり肩をそびやかす鮮魚人たち。
「「栄養満点で精力絶倫」だってさ」
「こいつらは、あいにく過剰摂取で短気と衝動が強まっている説がある。まんざら嘘でもねえ」
セリムは「しょうがねえなー」の顔をして肩をすくめた。