男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される

(そんなに大勢……?)

 ぞくりとして、同時に、何かとてつもなく嫌な感じを覚えた。
 それが何か、早く気づかなくてはと思うのに、うまく頭が回らない。
 と、そこでラディスが悔しそうに言った。

「しかしこれで、あの女の目的がはっきりしたな」
「え?」
「この前、バラノスでも聖女が現れたという話をしただろう」
「う、うん」
「なんだいそれ。初耳なんだけど」

 キアノス副長が驚いたように眉を顰めた

「すまない。もっと情報が得られてからお前には話そうと思っていた」
「それで?」
「……これは今日入手した情報だが、あちらの城で今原因不明の病が流行っているのだそうだ」
「!?」
「それって……」

 ラディスが頷く。

「バラノスに現れたという聖女もその正体は魔女で、病ではなく、呪いに侵されている」
「……っ!」

 キアノス副長は私の力でなんとか治すことが出来たけれど、バラノスでは今一体どういう状況なのだろう。
 考えただけで身震いがした。

「そうなると、あの女はもうこの城にはいないかもしれん」
「え!?」
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