男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


「イリアス!」

 バンっと勢いよく扉を開けると、着替え中だったらしいイリアスが驚いた様子でこちらを見た。

「な、なんだよ。びっくりすんだろ」

 シャツ一枚のラフな格好になってクローゼットを閉めた彼は、私の後ろに立つザフィーリを見てあからさまに嫌な顔をした。

「なんでお前らが一緒に……」
「イリアス! お前、聖女様から何かもらったのか!?」
「え?」

 ぎくりと彼の顔が強張るのを私は見逃さなかった。
 そんな彼に詰め寄る。

「もらったんだな!?」
「や、えっと……」
「それ、今どこにあるんだ!?」
「な、なんだよ、そんなに怒ることないだろ?」
「怒ってるんじゃない! どこにあるのかって聞いてんだよ!」

 すると、イリアスは急にムッとしたような顔をした。

「確かに隠してたのは悪かったけどさ、そんな目くじら立てなくたっていいだろ?」
「そうじゃなくて、」
「てか、お前だって俺に隠し事してんじゃねーか」
「え?」

 じとりと睨まれて、私は目を瞬く。
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